ウバガイ
ウバガイ(姥貝、学名: Pseudocardium sachalinense)は、二枚貝綱異歯亜綱バカガイ上科バカガイ科の1種。標準和名はウバガイであるが、水産上の名称はホッキガイ(北寄貝)である[1]。単にホッキともいう[2]。アイヌ語ではポクセイ(poksey[3])、ツウツウレップ[2](tutturep)、ニシホッケ[2]などの呼び名がある。季語、三冬。
ウバガイ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Pseudocardium sachalinense (Sehrenck, 1862) | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Spisula sachalinense (Sehrenck, 1862) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ウバガイ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Sakhalin surf clam |
形態
編集殻は三角形に近い卵形である[2]。殻表は稚貝では白色、幼貝では黄色、成貝では黄褐色あるいは黒褐色の殻皮に覆われる[1]。
幼貝のうちは、同科のシオフキに似るが、これは内湾性で生息環境から区別できる。一方、ヒメバカガイ(学名: Mactra crossei)は成貝では全く異なるが、1 cm以下の幼貝は区別が難しい。
殻頂に残る初期稚貝の殻を高倍率で観察すると、全く色彩のないものがウバガイで、褐色から帯紅色が点状に見られるのがヒメバカガイ[注釈 1]。
同科のミルクイにも似るが、殻長や水管、殻の後端の隙間がそれほど大きくなく、殻を閉じると完全に内部に収納され、ほとんど隙間がなくなる点で区別が可能。
生態
編集潮間帯から水深20mにかけての細砂底に棲息する[2]。5月下旬から8月中旬に産卵期を迎える[2]。ふ化した幼生は20 - 30日間の浮遊期をプランクトンとして過ごしたのち、成貝の生息域よりやや深い場所に着底する[2][4]。その後1歳にかけて成貝の生息域に移る[2]。漁獲対象(7 - 8 cm)になるまで4 - 6年を要する[4]。また、寿命は30年以上に達する[2]。
生産
編集漁獲
編集主に底曳網の一種の桁曳網で漁獲され、水を海底に噴射して掘り起こしながら網で捕獲する[4]。
漁獲量
編集- 2008年度(苫小牧市産業経済部調べ)
- 第1位 - 苫小牧漁港 825 t(北海道):「苫小牧市の貝」に指定されている
- 第2位 - 別海漁港 549 t(北海道)
- 第3位 - 三沢漁港 489 t(青森県)
- 第4位 - 根室漁港 460 t(北海道)
- 第5位 - 釧路漁港 324 t(北海道)
保護・増殖
編集地域によっては、稚貝の放流による増殖や大きさによる漁獲制限による保護が行われる(例:青森県では7 cm以下のウバガイは漁獲禁止[5])。苫小牧では、ウバガイの生育上競合関係となるハスノハカシパン(ウニの仲間)の駆除も試みられている[6]。
流通
編集活貝の殻付き流通が多いが[7][8]、鮮度の良い殻付きホッキガイをむく作業は慣れない人には容易でない[7]。そのため殻付きのまま貝重量の10倍量の湯で2分間ボイルし、冷却後殻をむく方法が推奨されている[7]。
利用
編集食用
編集刺身や寿司種のほか、フライ、バター焼き、酢の物などに用いる[8]。
栄養価
編集脚注
編集注釈
編集- ^ これは内湾性のシオフキとバカガイの幼貝の区別でも同様で、通常色彩の無いものがシオフキ、彩色されるのがバカガイ。
出典
編集- ^ a b “ウバガイ”. 北海道立総合研究機構. 2025年10月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “ウバガイ”. 北海道立総合研究機構. 2025年10月10日閲覧。
- ^ a b “アイヌ語地名リスト ヒラタ~ホロナ P111-120”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年1月3日閲覧。
- ^ a b c d “ウバガイ(ホッキガイ)”. マルハニチロ. 2025年10月10日閲覧。
- ^ “青森のホッキガイ(ウバガイ)”. 全国漁業協同組合連合会. 2018年7月3日閲覧。
- ^ “ホッキ貝の天敵「カシパン」 苫小牧沖の海底に多数生息-東海大・櫻井教授が調査”. 苫小牧民報 (2018年6月28日). 2018年7月3日閲覧。
- ^ a b c “ホッキガイの利用に係る基礎研究”. 福島県水産試験場漁場環境部 平成14年度事業報告書. 2025年10月10日閲覧。
- ^ a b c “お魚屋さんガイドマップ 3 北区・東区・西区・手稲区 編”. 2025年10月10日閲覧。