クロニジン
クロニジン(Clonidine)とは、血液脳関門を比較的容易に通過して、中枢神経系でも作用することが可能な選択的アドレナリンα2受容体のアゴニストである。主たる効能は降圧作用である。
| 臨床データ | |
|---|---|
| 投与経路 | 経口、経皮 |
| ATCコード | |
| 法的地位 |
|
| 薬物動態データ | |
| 生体利用率 | 75-95% |
| タンパク結合 | 20-40% |
| 代謝 | 肝臓 |
| 消失半減期 | 12-33 時間 |
| 排泄 | 腎臓 (40-50%) |
| 識別子 | |
| |
| CAS登録番号 | |
| PubChem CID | |
| DrugBank | |
| KEGG | |
| CompTox Dashboard (EPA) | |
| ECHA InfoCard | 100.021.928 |
| 化学的および物理的データ | |
| 化学式 | C9H9Cl2N3 |
| 分子量 | 230.093 g/mol g·mol−1 |
作用機序
編集アドレナリンα2受容体はGタンパク質共役受容体の中でもGiタンパクと共役した受容体である。この受容体が中枢神経系で作動すると、交感神経への負のフィードバックが入る。クロニジンは血液脳関門を通過できるために、クロニジンはこの仕組みを利用して、一般に血圧を上げさせる方向に身体を調整している交感神経の節前線維の興奮を抑制することで、血圧を低下させる。
ところで、クロニジンによって中枢神経系でアドレナリンα2受容体が作動したことによって、交感神経からの刺激に伴うアドレナリンやノルアドレナリンの分泌などは抑制される。しかし、この方法では褐色細胞腫から勝手に分泌されているアドレナリンやノルアドレナリンの分泌は抑制できないため、クロニジンを投与しても血中のノルアドレナリンなどの濃度が低下しなければ、体内に褐色細胞腫が存在する可能性があると考えられる。このために、クロニジンを褐色細胞腫の診断のために用いることもできる[要出典]。
効能・効果
編集各種高血圧症[1]
その他
編集血圧を降下させる薬剤としては、末梢の血管を収縮させないようにするアムロジピンなどのカルシウム拮抗剤が広く使用されている。さらに、末梢血管でアドレナリンα1受容体への刺激を入らないようにすることで末梢血管を収縮させないようにする方法で血圧を上げさせないようにするα1ブロッカーのドキサゾシンや、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を阻害することで血圧を上げさせないようにする種々の薬剤が別に存在している。このようなこともあり、クロニジンはあまり高血圧の治療には用いられていない。
また、海外ではクロニジンにはいくつかの適応外使用もあり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、境界性パーソナリティ障害、およびその他の不安障害によって引き起こされるストレス、睡眠障害、悪夢、過覚醒を含む精神障害を治療するために処方されている[2]。クロニジンはオープン試験でPTSDの解離症状に有効である可能性が報告されている。
副作用
編集一般的な副作用には、口渇、めまい、頭痛、低血圧、眠気などがある[3]。急速に中止した場合、危険な血圧上昇などの反跳作用が起こることがある。妊娠中または授乳中の使用は推奨されない[4]。
合成法
編集関連項目
編集出典
編集- ^ “カタプレス錠75μg/ カタプレス錠150μg”. 2015年8月31日閲覧。
- ^ Clonidine for the Treatment of Psychiatric Conditions and Symptoms: A Review of Clinical Effectiveness, Safety, and Guidelines
- ^ “Clonidine Monograph for Professionals”. Drugs.com. American Society of Health-System Pharmacists. 2019年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月2日閲覧。
- ^ British national formulary : BNF 76 (76 ed.). Pharmaceutical Press. (2018). pp. 144. ISBN 9780857113382