サイコソルジャー
『サイコソルジャー』(PSYCHO SOLDIER)は1987年3月にSNKから発売された、強制横スクロールのアクションシューティングゲーム。
概要
編集本作は『アテナ』の続編として制作された作品である。
崩壊後の世界を舞台とした退廃的な世界観が特徴で、ステージが進むにつれてフィールド背景とBGMも多彩に変化していく。
また、本作はメインBGMに肉声によるボーカル音声が用いられた「歌うゲーム」であり、第1ステージと以降の特定のステージで、BGMの1ループ分のみ歌が流れるようになっている。FM音源で音楽部分を、ADPCM音源でヴォーカル部分を再生している。ヴォーカルの音声は、日本国内版は日本語、海外版では英語となる。日本語版・英語版とも、当時アイドルだった清水香織が歌唱を担当している。
ストーリー
編集数千年の封印から目覚めし異種生物・屍愚魔の魔の手により闇に包み込まれた世界に、二人の戦士が現れた。
太古の予言に詠われた「二人の光の戦士」に選ばれしサイコソルジャー、麻宮アテナと椎拳崇である。
屍愚魔を滅ぼし世界に光を取り戻すため、その身に宿る超能力「サイコパワー」を武器に、二人は果てしない戦いに旅立つ。
システム
編集8方向レバー+Aボタン(サイコ・ビーム)・Bボタン(サイコ・ボール)[1]で、キャラクターを操作する。各ステージ最後にボスが待ち構えており、ボスのいる地点に到達するとスクロールが停止しボス戦に突入する。撃破すると再びスクロールが始まり、パワーアップアイテムを補給する中間地点を経て次のエリアへと進んでいく。
全6面構成、残機制、即死性、1周エンド。
敵および敵弾、障害物への接触、画面左端で壁に挟まれる、最下段の穴への落下により1ミス。全ての残機を失うとゲームオーバーとなる。ミス後は短時間の待機状態(UFOに乗った状態)となり、任意のタイミングでBボタンを押すか、一定時間経過でその場に復帰しゲームが継続される。待機時間中は完全無敵状態で地形を無視して移動でき、サイコビームを撃っての攻撃も可能なほか、破壊可能な壁を体当たりで破壊できる。
今作でのコンテニューは、ゲームオーバー後のコンテニュー表示中にクレジット投入することで行うが、前作同様プレイ中のクレジット投入により行い予め残機を貯めておくことが可能。クレジット投入後、1P・2P側双方のスタートボタンを押すことでそれぞれの残機を最大30人分まで追加できる。
登場キャラクター
編集プレイヤーキャラクター
編集スペシャルアイテムを取った際の変身時の姿が異なることを除き、性能差はない。
- 麻宮アテナ(あさみや アテナ)
- 1P側のキャラクター。16歳のごく普通の女子高生だが、生まれながらにして超能力を持つ。その力はまだ不完全だが、歌を歌いながら扱うことでより高く発揮できるという。
- 同社制作のアクションゲーム『アテナ』の主人公アテナ姫の子孫であり、超能力は彼女から先天的に受け継いだものである。
- スペシャルアイテムを取った際は火の鳥に変身する。
- 椎拳崇(しい けんすう)
- 2P側のキャラクター。アテナのパートナーの中国人。アテナいわく、“とっても頼れる助っ人”。
- 中国拳法の達人であり、彼の超能力は厳しい修行の末に後天的に身に付いたものらしい。アテナのことを“アテナはん”と呼ぶ。
- スペシャルアイテムを取った際は龍に変身する。
- 名前の由来は工学言語の「シーケンス(シークエンス)」のもじり[2]。
敵キャラクター
編集一部の敵キャラクターはそれぞれ上位下位の関係にあり、出現からしばらく経過した時や進化アイテムの取得により1段階進化して強化され、退化アイテムを取得した場合は1段階下のランクに退化する。
- メゾ・ゼール
- 昆虫のような姿をした屍愚魔ゼール系の幼生体。フィールド上を歩きまわり、時折、団子虫のように丸まって転がりながら突進してくる。
- メギド・ゼール
- メゾ・ゼールの進化体。体が一回り大きくなる。
- ルメギド・ゼール
- メギド・ゼールの進化体で、ゼール系の最終形態。背に生えた羽で飛行し、前方に弾を放ちながらキャラクターに向かってくる。
- モグ・ゴルゴ
- 地底に潜む屍愚魔ゴルゴ系の第一形態。モグラのような姿をしており、土中を潜って障害物を無視して移動してくる。
- 土中から現れて弾を吐きながら地上をしばらく歩き回った後、再び土中に潜ってフィールド上を移動する。
- 地中の移動中は触れてもミスにはならないが、こちら側の攻撃も当たらない。ガル・ゴルゴに進化する。
- ガル・ゴルゴ
- 岩で出来た猿型の屍愚魔。自分の頭を取り外し放り投げてくる。その際、上段に向かって放り投げられた頭部にダメージ判定が発生する。
- 投げられた頭は地面を転がり続け、サイコソード1発、サイコビーム2発で壊せる(ビームを1発だけ当てると反対方向へ転がっていく)。
- バルガ・ゴルゴ
- サイのような姿をした屍愚魔。主人公の前方に姿を現し、後退しながら前方とナナメ上下方向に飛ぶ電撃波を放つ。
- 出現からしばらく経つと、猛スピードで突進して画面外に去っていく。
- 上位種的な存在だが、ガル・ゴルゴに退化することはなく、常に単体で出現する。
- ギド・ラゴス
- 地底湖に潜む魚型の屍愚魔ラゴス系の第一形態。ミド・ラゴスに進化する。
- ミド・ラゴス
- 地底湖に潜む半漁人。水面から飛び出してきて段上に上がり、キャラクターに向かってくる。
- アル・ドラゴ
- 市街地ステージに現れるトカゲ型屍愚魔の第一形態。
- ダフ・ドラゴ
- ドラゴ系の第二形態。一回り大きくなる。ルメギド・ゼールと異なり、どの位置からでもキャラクターのいる座標に向かって弾を放ってくる。
- ゲルド・ドラゴ
- ドラゴ系の最終形態。背の翼で飛行し弾を放ってくる。
- ドロド・コーガ
- 溶岩地帯のマグマに潜む怪物。マグマに潜んで左右に移動し、飛び出してくる。
- ゼブ・シグマ
- 細胞が寄り集まったような形をした屍愚魔。破壊すると同時に破片が飛散し、触れるとミスとなる。
- グラ・シグマ
- くらげのような外観の屍愚魔。フィールド上を漂いながら接近してくる。
- ビビ・シグマ
- 細かい細胞が蛇のように連なった屍愚魔。フィールドの特定地点に張り付き、体を伸ばしてくる。
- ウゾウ・ムゾウ
- 編隊を組んで飛来する小型飛行敵。ステージによって外観が異なる。
- ダフ君
- 第1面と第2面に集団で現れるゾンビ。変身中に倒すと稀に他の敵に変化する。
- モーム
- タマゴから出現する毛虫。出現後に放置しておくとメゾ・ゼールに進化する。
ステージボス
編集第三面まではボス本体の撃破の他、ボスが巣食っている背後の壁を破壊することでもクリア可能。
- ゼール・ゼブブ
- 第一面のボス。破壊された街のビルに巣食ったゼール系屍愚魔の親玉。
- ビルの窓から飛び出してきて突進してくる。10匹倒すとクリアできる。
- ドラ・ゴーン
- 第二面のボス。ビルに巣食った龍の姿をした屍愚魔。長い首を伸ばして攻撃してくる。
- ゴルゴ・メカベ
- 第三面のボス。岩壁に巣食ったゴルゴ系屍愚魔の親玉。岩から剥き出した巨大な眼球を持ち、目玉を放り投げて攻撃してくる。
- 目玉は時折サイコボールかフル・ポイントに変化することがある。
- ラゴス・アゴン
- 第四面のボス。ラゴス系屍愚魔の親玉である巨大な魚型屍愚魔。
- 水面から上空に向かって拡散する弾を放ち、飛び跳ねながらの体当たりを繰り返す。
- 全部で3体現れ、その内の2匹は通常敵として登場し面下部の水面から弾を放つ攻撃のみを行ってくる。
- マ・グローン
- 第五面のボス。岩で出来た巨大な屍愚魔。
- 壁に張り付いている巨大な青い顔を守るようにして縦横無尽に画面内を移動し、首を伸ばして攻撃してくる。
- シグ・ド・ダビデ
- 最終ボス。全ての屍愚魔族の創造主。胴体から突き出した長い首を自在に伸ばし、更に足元から弾を放ってくる。
- 他のボスと異なって体力がケタ違いな上、2本の首によって弱点の胸部に攻撃が届き難い。
サウンドトラック
編集| 「サイコソルジャー」 | |
|---|---|
| 清水香織 の シングル | |
| B面 | 傷だらけのブルームーン |
| リリース | |
| 規格 | カセットテープ |
| レーベル |
テイチクレコード 10TH-114 |
| 作詞・作曲 |
川崎英吉 馬飼野康二 |
清水香織のシングルとしてCD版とカセットテープ版が一般販売された。
作詞・作曲は川崎英吉(SNK会長)の名義となっているが、実際の作曲者はSNK初期の作品のサウンドを担当したKENNY(西田和弘)。
- A面:サイコソルジャー
- B面:傷だらけのブルームーン(サイコ・ソルジャー・エンディング・テーマ)
- 作詞・作曲:川崎英吉、編曲:馬飼野康二
移植
編集- SNKアーケードクラシックスゼロ(PlayStation Portable)(2011年4月21日)
- 国内では初となる家庭用完全移植。清水香織の歌声も完全再現されている。
- ただし、アドホック通信には対応していないため2人同時プレイは行えず、完全な1人用になっている。
- SNK 40th ANNIVERSARY COLLECTION(Nintendo Switch、PlayStation 4、Xbox One、Steam)
- Switch版が2018年11月13日、PS4版が2019年3月19日、Xbox One版が2019年5月3日、Steam版が2019年6月7日に発売。
- Steam版以外は国内未発売だが日本語に完全対応している。
- Switch版のみアップデート、無料追加コンテンツ購入(海外アカウントが必要)でソフトが増える。他機種は初めから収録済み。
- アテナやサイコソルジャー以外にも全25タイトルの国内外のバージョンとファミコン版、NES版も収録されている。
- Xbox One版のみ他機種にも収録されていないベースボールスターが収録されている。
- サイコソルジャー(PlayStation 4、Nintendo Switch)(2019年4月25日)
- アーケードアーカイブスの1作品として配信。
- PSYCHO SOLDIER(パソコン版 ※日本未発売)
- 海外製ホビーパソコン向けの移植。アムストラッドCPC、コモドール64、ZXスペクトラムの3機種にリリースされた。
その他
編集- ファミリーコンピュータ版の『アテナ』には、サイコソルジャーの挿入歌やアーケード版のサウンドを収録したカセットテープが付属していた。
- 1987年に『サイコソルジャー』のファミコン移植が計画され、『ファミリーコンピュータMagazine』などの各ゲーム雑誌に開発が告知されていたが、中止になった。
関連作品
編集ゲーム
編集- 『ゴッド・スレイヤー はるか天空のソナタ』(1990年)
- 椎拳崇と共に作中の登場人物としてゲスト出演した。
- 『ATHENA -Awakening From the Ordinary Life-』(1999年)
- PlayStationで発売されたアドベンチャーゲーム作品。
- サイコソルジャーでのキャラクター設定をベースとしつつ、ゲーム版とは全く異なるオリジナルストーリーで展開する。麻宮アテナと椎拳崇が登場する。ゲームアーカイブスでも配信中。
- 『Days of Memories 〜世界で一番熱い冬〜』(2009年)
- 携帯電話アプリゲームで展開する『Days of Memories』シリーズ。メインヒロインとして登場する。
テレビドラマ
編集1998年にテレビ東京系列にて石橋けいが麻宮アテナ役を演じたドラマ『ATHENA -アテナ-』が放映された。