ジエチル水銀(ジエチルすいぎん、: Diethylmercury)は、化学式C4H10Hgで表される有機水銀化合物。可燃性のある無色の液体で、極めて強い神経毒性を持つ。水俣病の原因物質のひとつである。わずかに甘い香りがあり、この物質の漏洩に気付くことができる[1] が、蒸気は有毒である。

ジエチル水銀
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.010.001 ウィキデータを編集
EC番号
  • 211-000-7
MeSH C007378
UNII
性質
C4H10Hg
(C2H5)2Hg
モル質量 258.71 g/mol
外観 無色の液体
匂い 甘い
密度 2.446 g/ml
融点 −45 °C (−49 °F; 228 K)
沸点 156 - 157 °C (313 - 315 °F; 429 - 430 K)
溶けない
溶解度 エーテル、炭化水素、テトラヒドロフランに溶ける
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
可燃性、極めて有毒
GHS表示:
急性毒性(高毒性)経口・吸飲による有害性水生環境への有害性
Danger
H225, H300+H310+H330, H373, H410
P260, P262, P264, P270, P271, P273, P280, P284, P301+P310, P302+P350, P304+P340, P310, P314, P320, P321, P322, P330, P361, P363, P391, P403+P233, P405, P501
引火点 N/A
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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安全性

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日本の法令下では、毒物及び劇物取締法により毒物に、消防法により第4類危険物 第1石油類に分類される[2]。 ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)は51ないし44mg/kg。蒸気を吸入した場合の半数致死濃度(LC50)はラットで258mg/m3、マウスで91mg/m3のデータがある[3]。摂取すると、主として中枢神経系に影響を及ぼす。血液脳関門を通過し、脳への回復不能な損傷とIQの低下を生じることがある。光の曝露により分解し、強酸や強酸化剤と激しく反応する[3]。燃焼により、水銀化合物を含む有害ガスを生じる[3]

脚注

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  1. ^ http://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_EN.aspx?CBNumber=CB7165894
  2. ^ 製品安全データシート ジエチル水銀 厚生労働省職場のあんぜんサイト、2006年1月27日(2017年7月30日閲覧)。
  3. ^ a b c 製品安全データシート(安全衛生情報センター)