スナナナフシ亜目(スナナナフシあもく)は、等脚目に属する甲殻類の分類群の一つ。体長2 mm以下。以前はウミナナフシ科に近縁だとされていたが、詳細な形態系統解析からミズムシ亜目に近縁と考えられている[1]

スナナナフシ亜目
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
: 等脚目 Isopoda
亜目 : スナナナフシ亜目 Microcerberidea
学名
Microcerberidea
Lang, 1961
  • Atlantasellidae
  • Microcerberidae
典型的なスナナナフシ類の形態。

下位分類

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2科が属する。

Atlantasellidae

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Atlantasellidae Sket, 1979 には1属2種が属する。

スナナナフシ科

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スナナナフシ科 Microcerberidae Karaman, 1933 には約7属50種が属する。ウミナナフシ科に似た細長い体を持ち[1]、両者ともに匍匐運動をすることで前進する。そのため、ウミナナフシ科と混同されることがあるが、形態や生態は異なる部分も多い。ウミナナフシ科は匍匐運動に加えて、数枚の葉状の腹肢を使ったジェット水流によって高速で移動できる。これに対し、スナナナフシ科は砂の中であれば高速で動くことができるものの、腹肢の発達はみられないため、通常は匍匐運動のみを行う。腹肢は発達しないとはいえ、オスには腹肢が変化した交尾針が存在する。交尾については分かっていないことが多いが、例えば小笠原諸島で発見されたムニンスナナナフシは風変わりな交尾を行うことが分かっており、腹面にある生殖突起輸精管の開口部に交尾針を接着することで、放出された精子が交尾針に収容され、交尾針に付属している薄い膜によって管が形成され、その管によって精子がメスに送られるという。幼生期の代わりにマンカ期という時期が存在する[3]

スナナナフシ科はおちょぼ口をしており、バクテリアや微小な有機物を食べていると考えられている。左右の大顎が左右非対称であることが多い[3]

淡水産の洞窟・地下水性種と、海産の間隙性種から構成される。以前は多くの種がMicrocerberus属とされていたが、その後の研究により淡水産種はより原始的であると考えられるようになり、多くの海産種がCoxicerberus属に移動されている[4]

淡水産種が北米と欧州に分布することから、本科が出現したのはパンゲア大陸から北アメリカ大陸が分離する前であると考えられる[4]

脚注

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  1. ^ a b “Microcerberidea in ToLWeb”. 2012年9月4日閲覧.
  2. ^ Iliffe, T.M. (1996). Atlantasellus cavernicolus. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2.3. International Union for Conservation of Nature. 2012年9月4日閲覧.
  3. ^ a b 伊藤立則『砂のすきまの生きものたち 間隙生物学入門』(1版)、海鳴社、1985年2月20日、62–64頁。
  4. ^ a b J. W. Wägele; N. J. Voelz; J. Vaun McArthur (1995). “Older than the Atlantic Ocean: Discovery of a Fresh-Water Microcerberus (Isopoda) in North America and Erection of Coxicerberus, New Genus”. Journal of Crustacean Biology. 15 (4): 733–745.
  5. ^ Özdikmen, Hüseyin (2009), A NEW NAME, ISOYVESIA FOR THE PREOCCUPIED ISOPOD GENUS YVESIA COINEAU & BOTOSANEANU, 1973 (CRUSTACEA: ISOPODA) (PDF)