ヌビア相撲
ヌビア相撲(アラビア語: Al-Sira’a, アル・シラア)は、古代エジプト時代から続く、ヌビア地域(現代のスーダン南部・ヌバ山地)に伝わる伝統的なレスリング競技である。英語では「Nuba Wrestling」「Sudanese Wrestling」とも呼ばれる。古代の戦士訓練や祭礼の一環として発展し、現代でも地域文化として保存されている。
ヌビア相撲 アル・シラア / Al-Sira’a | |
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別名 | Nuba Wrestling, Sudanese Wrestling |
競技形式 | 伝統レスリング |
使用武器 | なし |
発生国 |
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発生年 | 古代エジプト時代 |
創始者 | 不明 |
源流 | 古代エジプトとヌビアの戦士訓練 |
主要技術 | 投げ技、組み技 |
オリンピック競技 | なし |
歴史
編集古代エジプトの壁画やレリーフには、エジプト兵とヌビア人のレスリング対決が描かれており、戦士訓練や王権の象徴としての意味があった。例として、メディネト・ハブ神殿のレリーフには、ヌビア人とエジプト人のレスリングの様子が描かれ、エジプト人の勝利場面が確認できる。また、紀元前1410年に亡くなったエジプトの役人ティヤネンの墓でもヌビア人レスラーの姿が描かれており、体格差が強調されている。
競技形式
編集- 裸足で行い、特別な装備は不要。
- 衣装は腰布や簡素な上着などで行われる。
- 勝敗は相手を地面に倒すか、投げ技で制することで決まる。
- 武器は使用せず、体格・技術・反射神経による純粋な力比べである。
社会的・文化的意義
編集- 村祭りや収穫祭の行事として行われ、部族間の交流や社会的地位の示威の場となる。
- 競技前には歌や舞、儀式的なダンスが行われることがある。
- ヌビア人のアイデンティティや社会構造に深く根ざしており、地域文化の保存と伝承の役割を果たしている。
現代の状況
編集現代でも南コルドファン州のヌバ山地を中心に、アル・シラアは伝統文化として行われている。国際大会や商業化はされていないが、部族間の交流や儀式、社会的地位の象徴として重要な役割を果たし、古代からの文化的つながりを現代に伝えている。