ファストグリーンFCF(Fast Green FCF)は、色に着色することのできる着色料食用タール色素に分類される合成着色料である。通称緑色3号(みどりいろさんごう)。常温では粒または粉末状の固体で、無臭である。分子式はC37H34N2Na2O10S3。分子量808.87。CAS登録番号 : 2353-45-9。

ファストグリーンFCF
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.017.356 ウィキデータを編集
E番号 E143 (着色料)
KEGG
UNII
性質
C37H34N2Na2O10S3
モル質量 808.8478 g/mol
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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主に工業製品の着色用途や食品添加物として使用される。旧厚生省は天然に存在しない添加物に分類している[1]。食品用途には、菓子清涼飲料への使用が多い。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の毒性試験では短期毒性、長期毒性および発がん性は認められていない[2][3]。国際癌研究機関(IARC)の発がん性リスク評価においても発がん性が確認できていない(Group 3)。

EUでは食品添加物として認可していた(E Number:E143)。EUは1989年に通達89/398/EECにおいて「乳幼児期の児童に対しては健康上の特別な利益のない食品添加物を摂取させるべきではない」(89/398/EEC, Article 1)という方針を提示した。それを受けて2008年のEUの法律改正(REGULATION (EC) No 1333/2008[4])以降は許可されていない[5]

またアメリカでは連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)[6]のCHAPTER VII,SUBCHAPTER B--COLORSに基づき、"FD&C Green No.3"として食品(医薬品または化粧品)添加物として認可されている[7]が、2025年4月22日、アメリカ食品医薬品局は着色料自体を段階的に廃止する方針を打ち出した上で、特に緑色3号を含む6つの着色料については、食品業界と連携して2026年末までに排除するとした[8]

脚注

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  1. ^ 厚生省「表5 食品添加物の年齢別摂取量」マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査 (平成12年12月14日 厚生省) (日本食品化学研究振興財団)
  2. ^ FAST GREEN FCF, JECFA
  3. ^ Fd & c green no. 3: Carcinogenic Potency Database
  4. ^ Article 16,REGULATION (EC) No 1333/2008of the European Parliament and of the Council of 16 December 2008 on food additives (OJ L354, 31.12.2008, page 16)
  5. ^ Food Law News - EU - 2008, Department of Food Biosciences, 。the University of Reading, UK
  6. ^ Federal Food, Drug, and Cosmetic Act
  7. ^ Summary of Color Additives Listed for Use in the United States in Food, Drugs, Cosmetics, and Medical Devices,Center for Food Safety & Applied Nutrition,FDA 。
  8. ^ 米国における食品用着色料の規制・承認の動き(米国)”. 農畜産業振興機構 (2025年5月16日). 2025年7月12日閲覧。