塗壁ぬりかべ)は、日本九州北部に伝えられる妖怪の一種。夜道で人間の歩行を阻む(姿の見えない[1]のような妖怪といわれる[4]

江戸時代の妖怪絵巻に三つ目の獅子[注 1](または長鼻でないゾウ[7][8])のような「ぬりかべ」の図像が近年に「発見」された。それ以前は、この妖怪の日本画は残存していないものと考えられていた。水木しげるが漫画に描いた、まさに壁に目と手足がついたような「ぬりかべ」は、いまや一般的に馴染みがあるものの、昔の絵の見本がないまま、水木が独自に空想した絵である。

概要

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福岡県遠賀郡(旧・筑前国遠賀郡)の海岸地方の伝承によると、夜道を歩いていると、目の前が突如として(目に見えない[注 2])壁がたちはだかり、前へ進めなくなってしまう。壁の横をすり抜けようとしても、左右にどこまでも壁が続いており、よけて進むこともできない。蹴飛ばしたり、上の方を叩いてもどうにもならないが、下の方をで払えば壁は消えるという。柳田の「妖怪名彙」(1938年、のち『妖怪談義』1956年に収録)に記載される[4][9]

この原文には「目に見えない」と明記されないが、解説者等にそう解釈される[11]

性質などを含めた文献上の塗壁の記録は、昭和期の柳田國男による民間伝承の採取が初出[12][13]、あるいは少なくとも全国に知名度を含めた功績であるとされる[14]

大分県

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大分県では、タヌキなど動物などが起こす怪異であるとして、同様のものが民間に伝えられており[7]、歩行中に突然目の前が見えなくなる怪異は同県内各地に「狸の塗り壁」(たぬきのぬりかべ)として[15]香々地町(現・豊後高田市)では「イタチの塗り壁」(いたちのぬりかべ)として伝えられる[15]。タヌキがこれを起こすとき陰嚢をいっぱいに広げて夜道を往く人の視界を塞いでいるともされる。これらのタヌキやイタチの塗壁も、その場に座り込んで煙草をつけて一服すると視界がひらけ前に進むことが出来るとされている[15][16]

大分県臼杵市にも「ぬりかべ」伝承が認められる[17]。臼杵市には、「油漆喰」というしっくい技術があるが、これを壁に施すと水を弾いて異様なので、妖怪伝説となったという発祥説がある[18]

また、大分県南海部郡(現・大分県佐伯市)に伝わる民話によれば、塗壁は七曲りという坂道に小豆とぎと共に現れるとされており、に歩いている最中に急に目の前が真っ暗になるものだという。正体はタヌキであり、人が着ている着物の後ろのの結び目にタヌキが乗り、両手で人の目を塞いで視界を奪うので、タヌキが乗ることの出来ないように帯の結び目を前にしてしめると、避けることが出来るといわれる[19]

図像学

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妖怪絵巻

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(『化物之繪』と『化物づくし絵巻』)
 
「ぬりかべ」の名が記された妖怪画
ユタ州・ブリガムヤング大学付属図書館(ブルーニング・コレクション)蔵の妖怪絵巻[8][20]

アメリカ合衆国の絵巻物の絵にに「ぬりかべ」の名称が添え書きされる絵を含む、米国所蔵の妖怪絵巻化物之繪英語版』(1660年頃に成立説[7][8])がある[5][8][20][7]。「白イヌ・白ゾウのような生物」だと形容される[21][注 3](米ユタ州ブリガムヤング大学[6]付属図書館蔵ハリー・F・ブルーニング・コレクション蔵[22]。⇒右図参照))。

これとそっくり同じだが(色使い等以外は)、3つ目で牙のある獅子のような姿[注 1]の妖怪画は、湯本豪一所有の狩野由信[注 4]化物づくし絵巻』(1802年/享和2年[注 5])に見える。ただし添え書きがなかったため、以前は画題がわからなかった[5][6]。米国所蔵の画と一致したことで[注 6]2007年8月、湯本[注 7]が「ぬりかべ」の画であると発表して展示をおこなった[12][5]

この経緯の以前は、「ぬりかべ」を描写した江戸時代の画は現存していないと思われていた[6]。「ぬりかべ」の絵巻物の発表により、一部のメディアでは「江戸時代の絵巻にすでに塗壁の姿があった」と報道された[注 8][12][5]。2007年以降の妖怪関連の文献では、この「ぬりかべ」(3つ目の獅子・犬似)の姿を採用している例がある[24]

しかし、妖怪研究家の京極夏彦多田克己村上健司、この絵巻の発見を『朝日新聞』の紙上で記事として執筆した同社の記者・加藤修らは、妖怪専門誌『』誌上での座談会において、この絵巻の「ぬりかべ」と伝承上の「塗壁」が同一のものかどうかは不明と意見している[25]

説明理由としては、名前が同じでもまったく別の妖怪は他にも例があることから、偶然に名前が一致したにすぎない無関係の妖怪とする説がある。また、「ぬりかべ」の名を記した絵巻・もしくはその名称のみが九州地域に流布し、通行人の目の前が塞がれるという怪異にあてはめられ、民俗語彙として採り入れられた可能性もあるとの説も示唆されている[25]。民俗学者の小松和彦らの著書でも、この絵巻の「ぬりかべ」と柳田がつたえる伝承上の塗壁との関連性は「不明」とする[26]

稲生物怪録

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稲生物怪録』にある壁の怪異[27]

江戸時代の妖怪譚『稲生物怪録』の諸本に描かれている、家の壁に目と口が現れて人を睨むという怪異の図は、添え書きがないので確定できないが、これが塗壁の祖形なのではないかとする仮説も以前にはあった[28]

この『稲生物怪録』7月30日の事件で、ミミズを沸かす灰の塊の怪異のかたわらでせせら笑う「壁の顔」であるが[29]、本文では「壁の形地」と呼ばれている[30]。評論家の倉本四郎は、この「壁の顔」が人柱と関係していると説き、塗り壁工事ならば、やろうと思えば人体でも何でも塗りこめることができるであろう、と考察している[30]。これは「ぬりかべ」の発祥を「油漆喰」を施した壁に求める説[18]にもやや似ている(上記、臼杵市の伝承を参照)。

水木しげる漫画

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塗壁の姿は、漫画家・水木しげるが妖怪画や漫画『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターとして提供する塗壁の、目と手足を持つ巨大な壁のような姿が一般化しているが(⇓ § 現代大衆文化の画像を参照)、これはあくまで伝承の記述(柳田:「行く先に壁」[4]が出現、等[7])を元にした創作キャラクターである[26]

類話

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中国には鬼打牆などと称される同様の妖怪が存在する。

野襖(のぶすま)

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高知県幡多郡の妖怪。夜、道を歩いている人の行く手に(ふすま)のような壁ができ[注 9]、上下左右どこまでも際限なく壁が続いており、野襖だと気づいた者は途端に気絶してしまう。これに立ちふさがれたときには、落ち着いて煙草でもふかしていると、自然に消えるという[32][33][34][35]。これも塗壁に近似するとされる[34][注 10]

(注)同名の「野襖英語版」には鼯(ムササビ)のように飛ぶタイプもおり[37]、それとは別だと指摘される[10]。そちらの方は、鳥山石燕今昔画図続百鬼』に描画されているが、むしろ風狸と比べられている[38]

衝立狸と蚊帳吊り狸

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同じ四国でも衝立狸蚊帳吊り狸の伝承が徳島県美馬市にあり、路上に出現し(襖のかわりに)「衝立」か「蚊帳」となって歩行を阻む[39][35]

越前国の狸

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越前国石徹白村(現・岐阜県郡上市福井県大野市)にも、名称はないものの、タヌキが道に襖(ふすま)をはって通行人の行く手をふさぐという同様の怪異が伝わっている[31](上述の § 野襖 § 衝立狸 § 蚊帳吊り狸参照)。

壁塗り(カベヌリ)

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1969年(昭和44年)には、 熊本県出身の民俗学者・丸山学によって「壁塗り」(かべぬり)という妖怪の伝承が報告されている。夜の道に黒い壁が現われて行く手をさえぎったという[40][注 11]。丸山の報告内容には伝承地の記載が無い。

大分県臼杵市で妖怪による町の振興を行う臼杵ミワリークラブの調査によれば、壁塗りは同市内にも伝承が残っているものであり、観光用に絵葉書まで売られているほど有名なものであったとされる。

ヌリボウ (塗坊)

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郷土史家・山口麻太郎の著書によると、壱岐国壱岐島(現・長崎県壱岐市)では、夜の山道で山側から突き出してくるといわれる[41]

柳田國男はこれを塗壁に似たものとして「妖怪名彙」に分類しているが[4]、原典ではどのような形態のものかは詳しく述べられておらず、何を根拠として塗壁と同類とされているのかは不明[16][42][注 12]

昭和・平成以降の妖怪関連の文献では、灰色の化け物であり、棒で叩くか、路傍の石などに腰をかけて一服しているとじきに消え去るなどとの解釈もある[35]

シマーブー

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鹿児島県奄美群島喜界島に伝わる妖怪。 夜道を歩いていると、目の前に枝を広げたのようなものが急に現れ、道を塞ぐという[35][43]

道塞ぎ(みちふさぎ)

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道塞ぎ(仮称)[注 13]1957年(昭和32年)のの日の夕暮れに、新潟県長野県の県境に位置する苗場山で、ある老人が遭遇したという怪異。釣りの帰り道に突如、見たこともない大滝が現れて行く手を阻まれ、後方には見たこともないマツの大樹と、見上げるような大岩が現れ、そのまま滝と岩が自分へ迫ってきて身動きできなくなってしまったという。老人はその場で一夜を過ごす羽目になったが、夜が明けると共にこの怪異は消え去ったという[44]

水木しげるラバウル体験

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水木しげるは著書において、第二次世界大戦での従軍中に南方のラバウルで塗壁と同じものに遭遇した体験談を語っている。敵軍に襲われ、仲間とはぐれて深いをひとりで逃げ惑っているうちに、コールタールを固めたようなものが前方に立ち塞がって行く手を阻まれ、右も左もその壁に囲まれて身動きできない。途方に暮れているうちに、疲労から数十分休んでいると、この壁は消えたという[45][46]

青木ヶ原樹海の見えない壁

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霊能者宗優子によると、テレビ番組の撮影で青木ヶ原樹海に入った際、制作スタッフたちの前に壁のようなものが立ちはだかったといい、樹海での自殺者たちがこれ以上進まぬようにと壁を作ったのではないかと語っている[47]

現代大衆文化

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水木しげる

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水木しげるロードにある塗壁のブロンズ像

水木しげるの漫画ゲゲゲの鬼太郎』(1960年代初出)では、ぬりかべが主人公・鬼太郎の仲間として登場する。本来の塗壁の伝承は一部の地方に限定されていることから、かつては比較的無名な妖怪であったが、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズでの活躍を通じて一躍、名が知られることとなった[12]。インパクトある巨体と大らかな性格で活躍する同作の効果で人気も向上し、「好きな妖怪ランキング」では常に上位にランキングされている[48]。『ゲゲゲの鬼太郎』でのぬりかべが、相手を自分の胴の中に塗り込める能力を持っていることから、平成以降の妖怪関連の文献でも、塗壁は自分の体の中になんでも塗り込めると解説されていることもある[24]

ラノベ

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2004年(平成16年)発表のSF小説およびアニメ作品『ぺとぺとさん』では、塗壁は妖怪の美少女姉妹「ぬりかべ姉妹」として描かれている。平成以降に多くなった、以前のような妖怪退治ではない、人間と妖怪との共存に主点を置いた作品の一例であり、妖怪のような異形がキャラクター文化として成立した一例とも考えられている[49]

特撮

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忍者戦隊カクレンジャー』『仮面ライダー響鬼』などの特撮ヒーロー作品では、主人公たちの敵キャラクター(怪人)として登場しており、本来の伝承を元にしながらも、外見や性格などに独自の味付けをされ、番組内容を盛り立てることに一役買っている[50]

注釈

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  1. ^ a b 出典の解説では「獅子か犬」[5][6]だが、むろん写実的なライオンイヌ種の絵では無く、あきらかに様式化した東洋画なので「唐獅子」「狛犬」を引き合いにすべきか[要出典]
  2. ^ 原文にはない。追って説明。
  3. ^ マイケル・ディラン・フォスター英語版教授は、こちらの絵がゾウ似であるとするが[7]、それとそっくりな『化物づくし絵巻』にある模写画を、湯本らは獅子・犬似だとする(後述)。
  4. ^ 南部藩御用絵師
  5. ^ 日付がの奥付(跋)に記される。
  6. ^ 経緯としては、2007年1月、ニュージーランド・オークランド大学のローレンス・マルソー(Lawrence Marceau)准教授が訪日して湯本に面会し、そのとき米国所蔵の絵巻の画像データを持ち寄ったので、照合が可能となった[5][23]
  7. ^ 当時は川崎市市民ミュージアムの学芸室長。
  8. ^ 水木しげるも「貴重な資料」として喜びのコメントを寄せている[5][7]
  9. ^ 越前国のタヌキが襖を張って通行人の道を塞ぐ逸話[31]は上述した。
  10. ^ 荒俣 2011 の「ぬり壁」の項 で、この伝承を比較しているが、関東の伝承とする[10]
  11. ^ 初出は、1969年『民俗えっせい』。
  12. ^ 路上に出現する怪異であること、名称が似ていることから塗壁の類話とされたとの説もある[42]
  13. ^ 山村民俗の会会員・大塚安子の採録による原典には妖怪の名称はない[44]。「道塞ぎ」の名は後掲『妖怪お化け雑学事典』による[45]

出典

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  1. ^ a b Foster 2024, p. 29–30.
  2. ^ 柳田國男「妖怪名彙(四)」『民間伝承』第4巻、1/通巻37、民間伝承の会、12頁、1938年9月20日。NDLJP:2264271  『続方言集』所引(塗り壁怪異・妖怪伝承データベース
  3. ^ 柳田 1977 [初版1956] 『妖怪談義』附録「妖怪名彙」 p. 206; 柳田 2013 [第3版 1957] 『妖怪談義』 「ヌリカベ」『続方言集』所引。
  4. ^ a b c d 柳田 1938「妖怪名彙」[2]、柳田 1977 [初版1956] および 2013 [第3版1957] 『妖怪談義』附録「妖怪名彙」所収[3]
  5. ^ a b c d e f g h 加藤修「「ぬりかべ」実はこんな姿 江戸期の絵巻に登場 水木さん「貴重な“妖怪国宝”」」『朝日新聞』2007年8月4日、東京夕刊、12面。オリジナルの2017年6月12日時点におけるアーカイブ。2008年4月15日閲覧。
  6. ^ a b c d 湯本豪一今昔妖怪大鑑 [Yokai Museum: The Art of Japanese Supernatural Beings from YUMOTO Koichi Collection]』パイインターナショナル、2013年、38頁。ISBN 978-4-756-24337-9https://books.google.com/books?id=20CoEAAAQBAJ&pg=PA38  (日本語、英語)
  7. ^ a b c d e f g h Foster, Michael Dylan (2024). The Book of Yokai, Expanded Second Edition: Mysterious Creatures of Japanese Folklore. University of California Press. pp. 162, 163, p. 375 n53. ISBN 9780520389564. https://books.google.com/books?id=KYT9EAAAQBAJ&pg=PA162 
  8. ^ a b c d e f Harold B. Lee Library (2025年). “Bakemono no e scroll”. Brigham Young University. 2025年5月22日閲覧。
  9. ^ 同じくフォスターが が柳田『妖怪名彙』("Yōkai glossary")の同文を英訳引用している[7]
  10. ^ a b c 荒俣宏; 應矢泰紀 (2021). “ぬり壁”. アラマタヒロシの日本全国妖怪マップ. 秀和システム. p. 118. ISBN 9784798065076. https://books.google.com/books?id=ZtRMEAAAQBAJ&pg=PA118 
  11. ^ "invisible"[1]、荒俣 2011「目に見えない壁のよう」[10]等。
  12. ^ a b c d 「怪」 2008年2月 0024号「ぬりかべが描かれた謎の妖怪絵巻」pp.12–
  13. ^ 京極夏彦『妖怪の理 妖怪の檻』角川書店〈KWAI BOOKS〉、2007年9月、472-475頁。ISBN 978-4-04-883984-6 
  14. ^ 京極夏彦 著「怪しむコトと妖しいモノ」、佛教大学文学部 編『見えない世界の覗き方: 文化としての怪異』法藏館、2006年、13, 18, 26頁。ISBN 978-4-04-883984-6https://books.google.com/books?id=qFA2qjxyVlAC&q=%E3%81%AC%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B9 
  15. ^ a b c 小玉洋美「第四章 第四節 三 妖怪・霊異:(三)路傍の怪」『大分県史 民俗篇』大分県、1986年、360–361頁。  (「狸の塗り壁」、「イタチの塗り壁」、「ヌリカベ,タヌキ怪異・妖怪伝承データベースに拠る)
  16. ^ a b c 「怪」 2011年7月 0033号 p. 262
  17. ^ 上記の『大分県史 民俗篇』のほか、『臼杵史談』(1968年)の資料に伝承がみつかるという[16]
  18. ^ a b 山口敏太郎妖怪博士のレポート:ぬりかべ」『大迫力!日本の妖怪大百科』西東社、2014年、156頁。ISBN 9784791687152https://books.google.com/books?id=d64YBAAAQBAJ&pg=PA156 
  19. ^ 加来宣幸・土屋北彦 編『日本の民話』 36巻、未來社、1980年7月1日、413-414頁。 NCID BN01286946 
  20. ^ a b Stoneman, Jack; Skabelund, Aaron Herald (2022). Discovery & Wonder: The Harry F. Bruning Collection at Brigham Young University. Provo, UT: BYU Academic Publishing. pp. 250251. ISBN 9781611650518;  (表紙絵に「ぬりかべ」あり)
  21. ^ "white dog-elephant-like creature".[8]
  22. ^ 詳しくは同大学のハロルド・B・リー図書館英語版内、L・トム・ペリー特別文庫英語版が管理するハリー・F・ブルーニングの日本の写本等コレクション所蔵品[5][8]
  23. ^ Papp, Zilia (2010). Anime and Its Roots in Early Japanese Monster Art. Global Oriental. p. 53. ISBN 9789004202870. https://books.google.com/books?id=AfV5DwAAQBAJ&pg=PA53 
  24. ^ a b 妖怪ドットコム 2008, p. 94
  25. ^ a b 「怪」 2008年2月 0024号「特別座談会 ぬりかべの謎を探る」pp.122–
  26. ^ a b 小松和彦 編『図解雑学 日本の妖怪ナツメ社、2009年8月6日、29頁。ISBN 978-4-8163-4747-4https://books.google.com/books?id=dgzd2WFbYnkC&q=%E3%81%AC%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%B9。「現代、柳田國男「妖怪名彙」の記述をもとに、もとに、水木しげるが姿を与えたぬりかべ近年、江戸時代の絵巻に描かれた「ぬりかべ」が発見された。ただし、柳田國男「妖怪名彙」に収録された「ぬりかべ」との影響関係は不明である。」 
  27. ^ 杉本好伸 編『稲生物怪録絵巻集成』国書刊行会、2004年7月、266頁。ISBN 978-4-336-04635-2 
  28. ^ 中村友紀夫他 編『妖怪の本 異界の闇に蠢く百鬼夜行の伝説』学習研究社〈New sight mook〉、1999年3月、105頁。ISBN 978-4-05-602048-9 
  29. ^ 冨士原, 彩夏『『稲生物怪録』と三次 』京都先端科学大学人間文化学会、2016年、p. 163 #41 (7月30日)https://lab.kuas.ac.jp/~jinbungakkai/pdf/2016/h2016_04.pdf。「灰が噴出し.. 塊となり.. ミミズが這い出し.. 平太郎はうろたえ.. 壁の顔は.. 睨みつけて」 
  30. ^ a b 倉本四郎「『稲生物怪録絵巻」を読む」『月刊 太陽 (特集 妖怪現る)』第412号、平凡社、121頁、1995年9月https://books.google.com/books?id=ICXjAAAAMAAJ&q=%E5%A3%81%E3%81%AE%E5%BD%A2%E5%9C%B0 
  31. ^ a b 宮本常一「越前石徹白民俗誌」『宮本常一著作集』 36巻、未來社、1992年10月、111頁。ISBN 978-4-624-92436-2 
  32. ^ 中平悦麿「高知縣幡多郡田ノ口村下田ノ口の俗信」『民俗学』第3巻、第5号、民間伝承の会、302–308頁、1931年5月。NDLJP:1583617  ("Nobusuma 野襖"@怪異・妖怪伝承データベースでは pp. 56–62).
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  36. ^ Toriyama, Sekien Hiroko Yoda訳 (2017), “Nobusuma”, Japandemonium Illustrated: The Yokai Encyclopedias of Toriyama Sekien, Courier Dover Publications, p. 137, ISBN 9780486818757, https://books.google.com/books?id=Hj9-rgEACAAJ&pg=PT182 
  37. ^ 鳥山石燕今昔画図続百鬼』(1779年刊)の一枚であり、"野衾(のぶすま)は鼯(むささび)の事成"とみえる[36]
  38. ^ 宮本幸枝「風狸」『日本の妖怪FILE』学研、2013年、116–117頁。ISBN 978-4-054056-63-3 
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  49. ^ 京極夏彦他 著、兵庫県立歴史博物館京都国際マンガミュージアム 編『図説 妖怪画の系譜』河出書房新社〈ふくろうの本〉、2009年4月、134-137頁。ISBN 978-4-309-76125-1 
  50. ^ 山口 2007, pp. 182–184

参考文献

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関連項目

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  • 日本の妖怪一覧
  • 白沢 (瑞獣) - 三つ目や体に余分な目がついた獣の姿
  • (くだん) - 「くたべ」などと「ぬりかべ」に語呂が似た異名もあり、「人と牛」だが、白沢に似るという
  • - 夢をくらう獣姿なので、幻想に通じる
  • - 蜃気楼を吐き出すという伝説獣。竜か貝。