多磨駅
多磨駅(たまえき)は、東京都府中市紅葉丘三丁目にある西武鉄道多摩川線の駅。副駅名は東京外大前(とうきょうがいだいまえ)。駅番号はSW03。
多磨駅[※ 1] | |
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東口(2020年12月) | |
たま Tama (東京外大前) | |
◄SW02 新小金井 (2.2 km) (1.4 km) 白糸台 SW04► | |
![]() | |
所在地 | 東京都府中市紅葉丘三丁目42-2 |
駅番号 | SW03 |
所属事業者 | 西武鉄道 |
所属路線 | ■多摩川線 |
キロ程 | 4.1 km(武蔵境起点) |
駅構造 | 地上駅(橋上駅) |
ホーム | 1面1線[2] |
乗降人員 -統計年度- |
[西武 1]12,915人/日 -2024年- |
開業年月日 | 1929年(昭和4年)1月5日 |

歴史
編集- 1929年(昭和4年)1月5日:多摩鉄道多磨墓地前駅(たまぼちまええき)として開業。
- 1988年(昭和63年)3月5日:新駅舎使用開始[3]。
- 2001年(平成13年)3月28日:駅名を多磨駅に改称[1]。
- 2018年(平成30年)6月7日:橋上駅舎化及び自由通路整備事業発表(2020年事業完了予定)[2]。
- 2019年(令和元年)5月26日:この日の始発から下り2番線ホームを上り下り共用とする1面1線式となる。
- 2020年(令和2年)
駅名の由来
編集当駅近隣を含む府中市東部の旧地名である旧北多摩郡多磨村および多磨霊園に由来する。
開業時は、本駅至近にあり当時日本最大級の公営墓地であった多磨墓地にちなみ、多磨墓地前駅と命名された[5]。その後、1935年に多磨墓地が多磨霊園へ改称した後も駅名はそのままとされた。
1990年代後半以降、駅東側の旧調布基地跡地利用に関する都市計画が進展し、武蔵野公園や東京外国語大学、味の素スタジアムなどといった施設の建設が決まるにつれ、近隣住民から墓地の語が駅名に含まれることの是非が問われるようになった。特に榊原記念病院については、府中市議会でも「病院に行くのに墓地前駅で降りるのは明るい感じがしない」と指摘された[6]。
一方で、霊園周辺にある石材店を中心に「長く使われている駅名で馴染みがある」などの意見もあったことから[5]、府中市・地元協議会・西武鉄道による検討の末、新駅名を多磨駅とすることが決まり、2001年に改称された[1]。
駅構造
編集単式ホーム1面1線を有する橋上駅。2020年12月23日の始発より橋上駅舎へ移行した。
駅舎は是政寄りにあり、西口および東口と改札口並びに改札階とホーム階はそれぞれ階段、エスカレーター(上りのみ)、エレベーターで連絡している。バスロータリーは東口にある。
橋上駅舎移行時に多摩川線では武蔵境駅に次いで二例目となる自動改札機が導入された。なお、のりこし精算機は設置されていないので精算の必要がある場合は有人改札で対応する。
トイレは駅舎内にあり、ユニバーサルデザインの一環として多機能トイレも設置されている。
2021年10月1日より多摩川線で実施されているサイクルトレインは当初、当駅のみ改札外の自由通路(府中市道)が歩行者専用となっていたため、終日自転車を持ち込んでの利用はできなかった。しかし、2023年4月1日よりサイクルトレイン利用者に限って自由通路の自転車通行が認められ、当駅でも自転車を持ち込んでの利用ができるようになった。
のりば
編集路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|
多摩川線 | 上り | 武蔵境方面 |
下り | 白糸台・是政方面 |
- 1面1線のホームのため、競艇場前駅と同様に案内上のホーム番号はない。
-
改札口(2022年10月)
-
ホーム(2022年10月)
旧駅舎
編集駅舎改良工事が行われるまでは相対式ホーム2面2線を有する地上駅だった。ただし、工事の進展に伴い、2019年5月26日より1面1線の単式ホームとなった。
駅舎は西側の武蔵境寄りにあり、下りホームとの間は構内踏切により連絡していた。駅舎を出ると東側のバス乗り場と連絡する自由地下通路があったが、橋上駅舎へ移行時に閉鎖された。
自動改札機は未導入だったが、2007年3月18日のPASMO導入にあたりICカード専用の簡易改札機が設置されていた。臨時の出札窓口(有人)があったが近年は使用されていなかった。
2019年3月15日のダイヤ改正前までは早朝・夜間帯に当駅で列車交換が行われていた。
トイレは上りホーム上にあり、多機能トイレも設置されていた。
-
旧駅舎・改札口(2006年7月)
-
2面2線のホーム(2007年6月)
駅改良事業
編集開業以来地上駅であったが、西武鉄道は2018年(平成30年)6月7日に橋上駅舎化と自由通路整備事業計画を発表し[2]、2019年~2020年にかけて、橋上駅舎化、自由通路整備、東口新設、構内踏切廃止、プラットホーム拡幅、バリアフリー施設整備を内容とする駅改良事業を、府中市との協力により開始した[2]。
この工事に伴い、2019年3月15日まで早朝・夜間帯に当駅で行われていた列車交換は翌日より廃止された。
同年5月26日からは下り2番ホームを上り下り共用にして、1番ホームは工事に伴い閉鎖された(1番ホームに設置のトイレは利用可能だった)。このため、改札口からホームを利用するためには、上り下りのどちらの場合でも構内踏切を渡る必要があり、特に上り電車の場合は踏切の遮断時間の関係から発車時刻間際に改札口を通過しても乗車する事が出来なくなるため2分以上余裕をもって利用するように告知がされていた。また、同一ホームから別方向の列車が発着するため、フルカラーLEDによる発車標も設置されていた。この期間に旧上りホームおよび旧上り線の線路跡を利用して旧上りホームの拡張が行われた。
2020年10月24日に、拡張された旧上りホーム(これ以降は無番化)が供用開始され、それまで上り下り共用だった旧下りホームおよび構内踏切が廃止された。これにより構内踏切の遮断を気にせずに乗車できるようになった。
2020年(令和2年)12月23日始発より橋上駅舎と自由通路が供用開始された[4]。これによりエスカレーター・エレベーターなどのバリアフリー設備が整備された[4]。
しかしこの駅舎改良工事には、府中市も約14億円の費用(市税)を負担し、地元住民や府中市議会議員からの要望を受けていた[7][8]にもかかわらず、下りエスカレーターは設置されなかった[7]。西武鉄道側はその理由について「エスカレーター設置スペースの幅が狭いため設置できない」と回答している[7]。しかし同市内の京王電鉄多磨霊園駅[9]や武蔵野台駅[10]では、スペースの幅が狭くても上下エスカレーターが設置されていることが指摘された[7]。エスカレーターなどの設備を後付けで増設するのは費用がかさみ、大掛かりな工事となって鉄道利用上も影響を及ぼすため、駅舎新築の時点で設置しておくべきだったと指摘されている[7]。地元では引き続き、西武鉄道に対して下りエスカレーターの設置を要望していくとしている[7]。
利用状況
編集2024年(令和6年)度の1日平均乗降人員は12,915人であり、西武鉄道全92駅中61位[西武 1]。多摩川線では武蔵境駅に次いで多い。
近年の1日平均乗降・乗車人員の推移は下表の通りである。
年度 | 1日平均 乗降人員[12] |
1日平均 乗車人員[13] |
出典 |
---|---|---|---|
1990年(平成 | 2年)4,540 | [* 1] | |
1991年(平成 | 3年)4,770 | [* 2] | |
1992年(平成 | 4年)4,764 | [* 3] | |
1993年(平成 | 5年)4,811 | [* 4] | |
1994年(平成 | 6年)4,690 | [* 5] | |
1995年(平成 | 7年)4,617 | [* 6] | |
1996年(平成 | 8年)4,479 | [* 7] | |
1997年(平成 | 9年)4,419 | [* 8] | |
1998年(平成10年) | 7,893 | 4,348 | [* 9] |
1999年(平成11年) | 7,891 | 4,380 | [* 10] |
2000年(平成12年) | 9,517 | 5,310 | [* 11] |
2001年(平成13年) | 11,536 | 6,427 | [* 12] |
2002年(平成14年) | 11,621 | 6,466 | [* 13] |
2003年(平成15年) | 11,568 | 6,429 | [* 14] |
2004年(平成16年) | 11,944 | 6,427 | [* 15] |
2005年(平成17年) | 11,901 | 6,181 | [* 16] |
2006年(平成18年) | 11,748 | 6,099 | [* 17] |
2007年(平成19年) | 11,875 | 6,057 | [* 18] |
2008年(平成20年) | 12,475 | 6,326 | [* 19] |
2009年(平成21年) | 12,830 | 6,485 | [* 20] |
2010年(平成22年) | 12,873 | 6,427 | [* 21] |
2011年(平成23年) | 12,401 | 6,205 | [* 22] |
2012年(平成24年) | 12,809 | 6,411 | [* 23] |
2013年(平成25年) | 13,260 | 6,641 | [* 24] |
2014年(平成26年) | 13,460 | 6,745 | [* 25] |
2015年(平成27年) | 13,807 | 6,923 | [* 26] |
2016年(平成28年) | 13,838 | 6,940 | [* 27] |
2017年(平成29年) | 13,903 | 6,975 | [* 28] |
2018年(平成30年) | 13,971 | 7,011 | [* 29] |
2019年(令和元年) | 13,757 | 6,907 | [* 30] |
2020年(令和 | 2年)[西武 2]7,934 | ||
2021年(令和 | 3年)[西武 3]10,284 | ||
2022年(令和 | 4年)[西武 4]11,589 | ||
2023年(令和 | 5年)[西武 5]12,371 | ||
2024年(令和 | 6年)[西武 1]12,915 |
駅周辺
編集バス路線
編集隣の駅
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c 『3月28日(水)、多摩川線の駅名を変更します。新駅名 「多磨」(現・多磨墓地前)「白糸台」(現・北多磨)』(プレスリリース)西武鉄道、2001年2月21日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ 。2022年3月26日閲覧。
- ^ a b c d 『多磨駅が生まれ変わる! 多摩川線多磨駅 橋上駅舎化及び自由通路整備を実施します』(PDF)(プレスリリース)西武鉄道、2018年6月7日。オリジナルの2018年9月17日時点におけるアーカイブ 。2020年12月9日閲覧。
- ^ 『会社要覧』西武鉄道株式会社、1999年、100-103頁
- ^ a b c 『12月23日(水)初電車より 多摩川線 多磨駅の橋上駅舎・自由通路を供用開始します!』(PDF)(プレスリリース)西武鉄道、2020年12月8日。オリジナルの2020年12月8日時点におけるアーカイブ 。2020年12月8日閲覧。
- ^ a b “府中市議会会議録 平成10年第4回定例会(第19号) 一般質問”. www.city.fuchu.tokyo.dbsr.jp. 府中市 (1998年11月30日). 2025年8月6日閲覧。 “吉野和男市長(当時)の発言:この西武多摩川線は、多摩川から砂利を輸送する目的で鉄道が引かれましたが、大正6年に旅客鉄道として、武蔵境駅から北多磨駅まで、さらに、大正11年には是政駅まで延長をされました。また一方、多磨霊園は大正12年4月に開設をされましたが、当時は駅がなく、その後、昭和4年1月に駅が設置されました。駅名につきましては、日本で最大の規模をもつ墓地である都営多磨霊園入り口にあるので、多磨墓地前駅と名がつけられたと言われております。駅名につきましては、このような長い歴史の中で、多くの市民や多磨霊園にかかわる人たちに親しまれてきたものであると思っております。しかしながら、最近になりまして、状況の変化もあり、この駅名ではイメージが暗いので、もっと明るい駅名に変えられないかという声も伺っております。また、本年1月からこの駅を中心にまちづくり協議会が発足をし、活動いたしております。この協議会の中でも駅名の変更について議題になっておるということでありますが、変更した方がよいと言われる方と、愛着があるので今のままでもよいのではないかという考え方があるようであります。いずれにいたしましても、引き続き地元協議会で協議されると思いますので、その結論を参考に今後検討してまいりたいと存じます。”
- ^ “府中市議会会議録 平成10年第4回定例会(第19号) 一般質問”. www.city.fuchu.tokyo.dbsr.jp. 府中市 (1998年11月30日). 2025年8月6日閲覧。 “三宮克己市議(当時)の発言:それから、多磨墓地前駅という駅名の問題ですけれども、先ほど市長から答弁がありましたように、多磨墓地前駅の利用者が(中略)ほとんどあの駅を利用して通勤・通学をしているということで、あの駅も利用者の階層がかなり変わっているのは、先ほどの答弁のとおりだと思います。それで、駅名変更の問題についても、これ、急に言っても、時刻表の問題だとか、切符の印刷問題、全国にそれを知らせるということがありますので、なかなか急にはいかないだろうと思いますが、こうした問題はそろそろ準備をしていてもいいのではないだろうかと思っております。つい最近では、8月22日に小田急江ノ島線で、藤沢の手前に六会という駅があるんです。それが六会日大前というふうに駅が変わってきているわけです。そうしますと、多磨墓地前駅というところも、あそこは武蔵野公園ができ、外語大ができ、あるいは病院ができますと、先ほどおっしゃったように、病院に行くのに、多磨墓地前駅をおりて病院に行くとかいうのは、先ほどお話がありましたように、明るい感じがしないわけです。ですから、この駅名変更についても、急に変えるというわけにいきませんので、こうしたこともやはり準備をしていく必要があるのではないだろうかということで質問をさせていただきました。”
- ^ a b c d e f 結城亮 (2020年12月23日). “西武多摩川線多磨駅が装い新たに今日(12月23日)から供用開始 駅改良に市税14億円(概算)を投じたが・・残念なのは「下りエスカレーター」設置されなかったこと - 地域・まちづくり”. 府中市議会議員 ゆうきりょう 公式ブログ. 2021年3月18日閲覧。
- ^ “西武線多磨駅の「駅構内に下りのエスカレーターがないと知って、びっくり」『全面バリアフリー化』と言っていたのに!」(市民の声より) - 地域・まちづくり”. 府中市議会議員 ゆうきりょう 公式ブログ. 結城亮 (2020年12月27日). 2021年3月18日閲覧。
- ^ “多磨霊園駅|各駅情報・時刻表”. 京王グループ. 京王電鉄. 2021年3月18日閲覧。
- ^ “武蔵野台駅|各駅情報・時刻表”. 京王グループ. 京王電鉄. 2021年3月18日閲覧。
- ^ 府中市統計書 - 府中市
- ^ レポート - 関東交通広告協議会
- ^ 東京都統計年鑑 - 東京都
- ^ “「オリンピック・パラリンピックパーク」をレガシーに かけがえのない感動と記憶を、次世代へ”. 東京都生活文化スポーツ局 (2022年7月21日). 2023年10月6日閲覧。
- 東京都統計年鑑
- ^ 東京都統計年鑑(平成2年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成3年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成4年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成5年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成6年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成7年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成8年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成9年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成10年) (PDF)
- ^ 東京都統計年鑑(平成11年) (PDF)
- ^ 東京都統計年鑑(平成12年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成13年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成14年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成15年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成16年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成17年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成18年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成19年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成20年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成21年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成22年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成23年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成24年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成25年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成26年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成27年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成28年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成29年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成30年)
- ^ 東京都統計年鑑(平成31年・令和元年)
- 西武鉄道の1日平均利用客数
- ^ a b c “駅別乗降人員(2024年度1日平均)” (pdf). 西武鉄道. 2025年6月7日閲覧。
- ^ 駅別乗降人員(2020年度1日平均) - ウェイバックマシン(2021年9月23日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧
- ^ 駅別乗降人員(2021年度1日平均) - ウェイバックマシン(2022年7月8日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧
- ^ “駅別乗降人員(2022年度1日平均)” (pdf). 西武鉄道. 2023年7月30日閲覧。
- ^ “駅別乗降人員(2023年度1日平均)” (pdf). 西武鉄道. 2024年6月21日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 多磨駅(駅情報) - 西武鉄道
- 【日テレ鉄道NEWS】「橋上駅舎化」リニューアル 西武鉄道多摩川線・多磨駅 日テレNEWS 2020年12月26日