大和証券

日本の証券会社

大和証券株式会社(だいわしょうけん、: Daiwa Securities Co. Ltd.)は、東京都千代田区丸の内に本社を置く、大和証券グループ本社傘下の大手総合証券会社。企業理念は「信頼の構築、人材の重視、社会への貢献、健全な利益の確保」。

大和証券株式会社
Daiwa Securities Co. Ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
100-6752
東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウノースタワー
設立 1999年(平成11年)4月26日
業種 証券、商品先物取引業
法人番号 9010001063235 ウィキデータを編集
金融機関コード 9523
SWIFTコード DWSCJPJT
事業内容 有価証券等の売買、有価証券等の売買の仲介・取次・代理金融商品取引業及び付帯事業
代表者
資本金 1000億円
(2025年3月31日現在)
売上高 連結:4708億5800万円
(営業収益、2025年3月期)[1]
経常利益 連結:1056億3300万円
(2025年3月期)[1]
純利益 連結:751億2400万円
(2025年3月期)[1]
純資産 連結:5851億2300万円
(2025年3月期)[1]
総資産 連結:18兆9770億5600万円
(2025年3月期)[1]
従業員数 連結:
決算期 3月31日
主要株主 大和証券グループ本社 100%
外部リンク 大和証券公式サイト
特記事項:関東財務局長(金商)第108号
テンプレートを表示

概要

編集

野村證券SMBC日興証券みずほ証券三菱UFJモルガン・スタンレー証券とともに、日本の五大総合証券会社の1角である[2]。また野村證券と同様に、メガバンクに属さない独立系の証券会社である。

1943年、藤本証券日本信託銀行の合併により、初代大和證券を設立社名は当時の日銀総裁であった結城豊太郎が「相和して大きくなる」との願いを込め名づけた。

住友銀行(現・三井住友銀行)との提携時、法人業務では相互に顧客を紹介したほか、同銀行と合弁で、ホールセール証券の大和証券SBキャピタルマーケッツ(後の大和証券SMBC)を設立。一時は法人向け証券業務で、業界No.2の実績を誇ったこともあった[注釈 1]

2009年に三井住友フィナンシャルグループとの資本業務提携が解消されたことで、法人向けの証券業務は、大和証券グループ単独出資(大和証券キャピタル・マーケッツ)に置き換えられることとなった。

現在の大和証券は、初代大和證券(現・大和証券グループ本社)の持株会社移行に先立ち、会社分割準備会社の大和証券リテール準備株式会社として設立されたものである。1999年4月26日、個人向け取引の営業を譲り受けると同時に、商号変更の上、リテール専門証券会社として開業した。

ワークライフバランス

編集

大和証券では「働きがいのある会社」を整備しようと、女性活躍支援や原則19時退社、家族の職場訪問などのワークライフバランスを重視した施策を実行している[3]

沿革

編集

参照:[4]

  • 1999年(平成11年)
    • 4月26日:大和証券グループ本社(同日、大和證券より改称)から、リテール証券業務を吸収分割。商号を大和証券リテール準備から、大和証券株式会社に変更のうえ、営業開始。
  • 2000年(平成12年)
    • 5月:業界初となる株価通知サービス「メールDE株価」の提供。
    • 7月3日:個人向けの新サービスの提供を開始[5]
      • 「ダイワ・コンサルティング」:担当者との対面取引
      • 「ダイワ・コール」:コールセンターからのアドバイスを受ける
      • 「ダイワ・ネット」:ネットを介したオンライン取引
  • 2006年(平成18年)
    • 2月:店頭FX「ダイワFX」の取扱開始。
  • 2008年(平成20年)
    • 8月8日:PTSサービス「ダイワPTS」の取扱開始[6]
  • 2009年(平成21年)
    • 10月:店頭CFD「ダイワ株X」の取扱開始。
    • 11月:取引所FX(愛称:くりっく365)の「ダイワ365FX」取扱開始。
  • 2011年(平成23年)
    • 5月:大和ネクスト銀行を所属銀行とする銀行代理業の業務を開始(同年4月22日付けで銀行代理業の許可を取得)。
    • 12月:「ダイワPTS」と「ダイワ株X」の両サービスを終了[リリース 1]
  • 2012年(平成24年)
  • 2017年(平成29年)
    • 4月3日:個人向けiDeCoプランとして、「ダイワのiDeCo(イデコ)」の提供を開始[8]
    • 10月1日:iDeCo運営の大和ペンション・コンサルティングを吸収合併[リリース 2]
  • 2025年(令和7年)
    • 10月1日:店頭などで暗号資産を担保にした個人・法人向けローンの紹介を開始[9]

不祥事・事件

編集

インサイダー取引事件

  • 2005年10月、姫路支店法人課の課長代理がフジプレアム[注釈 2]役員より、インサイダー取引の疑いがある注文を受け付けた。翌2006年11月22日、証券取引等監視委員会は上記事件について、金融庁に行政処分を勧告[10]。同年12月1日、金融庁は大和証券姫路支店を、2006年12月19日から20日までの2日間の一部業務停止とした[11]
    • このインサイダー取引事件について、親会社の大和証券グループ本社は2007年1月4日、鈴木茂晴社長(当時)ら7人の3ヵ月の減給処分を発表。また、当時、大和証券姫路支店の支店長であった参与らの報酬減額(10%)と、同支店でインサイダー取引の疑いのあった株式売買にかかわった社員ら5人を譴責や戒告処分などの懲戒処分とした[12]

従業員に対する追い出し部屋問題(大和証券・日の出証券事件)

  • 2012年10月1日、被害者X(男性社員、1998年に大和證券に入社)は同日付で営業本部付課長代理として、大和証券系の日の出証券に出向。Xは約1ヵ月間の研修を終え、11月12日付で大阪本部営業部に配属されたが、営業部のオフィスにデスクが用意されず、同フロアの「第2営業部」に案内された。しかし、すでに「第2営業部」は廃止されており、いわゆる追い出し部屋と化していた。そして、Xは出向先の上司から、他の社員から隔離しようとしていたなど様々な嫌がらせ行為(パワハラ)を受けて精神的損害を被ったとして、日の出証券とその親会社の大和証券に慰謝料を請求した。
    • 2015年4月24日、大阪地裁は、大和証券と日の出証券の「両社が共同で男性を退職に追い込むための嫌がらせで違法」と共同不法行為責任(民法719条)を認め、両社に150万円の支払いを命じた[13]

しばき隊関連団体メンバーによるTwitterでの発言問題

  • 問題の人物はネット証券「ダイワ・ダイレクト」を手掛けるダイレクト企画部長と言われており、この人物はTwitterで延々と反社会的な言動を流していた[14][15]。大和証券は2016年12月、当該人物をダイレクト企画部長から更迭する異例の人事を発表した[リリース 3]

現金詐取事件

  • 2020年11月4日、大和証券の元支店長(支店名は非公表)が他1人と共謀し、元支店長が代表を務める会社が他社債権を保有しているように装い、千葉県の債権買取業者の役員から現金1780万円(債券の売買代金名目)をだまし取ったとして、神奈川県警は元支店長ら2人を詐欺容疑で逮捕した[16]

顧客情報流出

  • 2021年12月1日、大和証券福岡支店の元社員が、顧客情報を外部に持ち出した窃盗容疑で福岡県警察に逮捕された[17]

行政との関係

編集

内閣府外局の金融庁が所管する証券取引等監視委員会の委員3名のうち、1名は大和総研専務理事の引頭麻実であった(2016年10月25日衆議院承認)。また、大和証券グループ本社の元代表取締役[18]鈴木茂晴が同委員会の監視対象の一つである業内自主規制団体日本証券業協会の会長を務めていた(2017年7月1日、同協会理事会の推薦と総会選挙により就任[19])。なお2017年には、証券取引等監視委員会の前任委員の天下り問題が問題視されている。

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 三井住友フィナンシャルグループより、SMBCフレンド証券との合併が持ちかけられたが、大和側がこれを拒否した為に、個人部門は提携・統合が行われなかった。
  2. ^ 兵庫県姫路市に本社を置く、ディスプレイに特化した化学品メーカー

リリース

編集
  1. ^ 『ダイワPTS』および『ダイワ株X』のサービス終了のお知らせ」、2011年10月28日、大和証券。
  2. ^ 大和証券と大和ペンション・コンサルティングとの合併に関するお知らせ」、2015年2月25日、大和証券グループ本社、大和証券、大和ペンション・コンサルティング(三社連名)。
  3. ^ 役員の異動について」、2016年11月28日、大和証券。

出典

編集
  1. ^ a b c d e 株式会社大和証券グループ本社『第88期(2024年4月1日 - 2025年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2025年6月18日。 
  2. ^ 【業界研究:証券】野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の違いを徹底比較!|就活サイト【ONE CAREER】”. www.onecareer.jp. 2022年7月17日閲覧。
  3. ^ 大手証券、「職場参観」が人気 大和は5000人超参加”. 日本経済新聞社 (2014年7月26日). 2014年7月31日閲覧。
  4. ^ 大和証券グループのあゆみ”. 大和証券グループ本社. 2025年10月1日閲覧。
  5. ^ 大和証券が顧客を3つの新サービスカテゴリーに分ける 手数料体系、サービスなどきめ細かい対応を狙う”. INTERNET Watch. インプレス (2000年6月29日). 2002年6月21日閲覧。
  6. ^ 「大和証券、PTSの夜間取引開始 - 初日は148銘柄成立」『日刊工業新聞』日刊工業新聞社、2008年8月12日、朝刊。
  7. ^ 大和証券G<8601.T>が傘下証券の合併を正式決定、4月1日付”. ロイター通信 (2012年2月20日). 2012年3月2日閲覧。
  8. ^ 「大和証券、新たに個人型確定拠出年金プラン16商品」『日刊工業新聞』日刊工業新聞、2017年3月22日、朝刊。
  9. ^ 大和証券、店頭で暗号資産担保ローン紹介 大手で初、子会社と連携”. 日本経済新聞社 (2025年9月30日). 2025年10月2日閲覧。
  10. ^ 「大和証券の行政処分を勧告 / 監視委、内部取引に関与で」『四国新聞四国新聞社、2006年11月22日、夕刊。
  11. ^ 大和証券株式会社に対する行政処分について”. 報道発表資料. 金融庁 (2016年12月1日). 2016年12月27日閲覧。
  12. ^ 「大和証券、社長らを減給処分 / 証取法違反の行政処分で」『四国新聞』四国新聞社、2007年1月4日、夕刊。
  13. ^ 森戸英幸 (2015-08-25). “転籍先での嫌がらせについての転籍元の責任 —大和証券ほか事件 —大阪地判平成27・4・24”. ジュリスト2015年9月号 (有斐閣) (1484): 4-5. 
  14. ^ 証券業界にも波紋が……“しばき隊”関連団体メンバーだった大和証券部長「身元バレ」の後始末 exciteニュース 2016年11月16日
  15. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “大手証券会社社員が「上場廃止になるまで追い込まないと」とツイートしたとして炎上 ネット上での指摘に会社側は「把握しているが…」”. 産経ニュース. 2019年7月10日閲覧。
  16. ^ 林瞬、林知聡「うその再建で現金だまし取った疑い 大和証券元社員逮捕」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年11月4日、夕刊。
  17. ^ 大和証券元社員を逮捕 426人分の顧客情報流出 福岡県警 | ニッキンONLINE”. ニッキンONLINE | 日本金融通信社. 2023年2月13日閲覧。
  18. ^ 大和証券グループ本社 (2017年1月30日). “大和証券グループ 役員人事について”. 大和証券グループ本社. http://www.daiwa-grp.jp/data/attach/2056_12_20170130b.pdf 
  19. ^ 日本証券業協会 (2017年3月14日). “本協会の次期会長候補者の推薦について”. 日本証券業協会. http://www.jsda.or.jp/shinchaku/20170314/index.html 

関連項目

編集

外部リンク

編集