天城一

日本の小説家、数学者 (1919-2007)

(あまぎ はじめ、1919年1月11日 - 2007年11月9日)は、日本小説家推理作家数学者解析学)、大阪教育大学名誉教授。本名中村 正弘

別筆名に「高天原 アリサ」「青山 狂介」がある。

経歴

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東京生まれ。東北帝国大学数学科卒業。

1947年、探偵小説雑誌『宝石』2・3月合併号(岩谷書店)掲載の短編「不思議な国の犯罪」(後に「不思議の国の犯罪」に改題)でデビュー。摩耶正を探偵役とした密室ものの作品を発表し、寡作ながらも学者独特の観察眼からの作品は人気が高い。

1955年に長編「圷家殺人事件」執筆後、長らく作品がなかったが、1975年に復活。アリバイを重視した島崎警部を探偵役とした作品を発表した。

長らく単独の著書がなかったが、晩年になって著作がまとめられた(「天城一傑作集」全4巻)。雑誌デビューから実に57年を経ての初単行本である。その第1巻『天城一の密室犯罪学教程』で、第5回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞[1]

2007年11月9日、肺炎のため死去、享年88。

作品

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長編

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  • 『圷家殺人事件』
  • 『風の時 / 狼の時』 (『圷家殺人事件』の改稿版)
  • 『宿命は待つことができる』 (『Destiny can wait : または<犬> 』の改題)
  • 『沈める涛』

短編

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  • 「不思議の国の犯罪」
  • 「鬼面の犯罪」
  • 「奇蹟の犯罪」
  • 「高天原の犯罪」
  • 「夢の中の犯罪」
  • 「明日のための犯罪」
  • 「盗まれた手紙」
  • ポツダム犯罪」
  • 「黒幕・十時に死す」
  • 「夏の時代の犯罪」
  • 「冬の時代の犯罪」
  • 「ニ長調のアリバイ」
  • 「春嵐」

著書

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  • 『数学教育史』(中村正弘名義、寺田幹治共著、槙書店、数学選書) 1972
  • 『天城一の密室犯罪学教程』(日下三蔵編、日本評論社) 2004年5月、のち宝島社文庫 2020年7月
  • 『島崎警部のアリバイ事件簿』(日下三蔵編、日本評論社) 2005年6月
  • 『宿命は待つことができる』(日下三蔵編、日本評論社) 2006年8月
  • 『風の時 / 狼の時』(日下三蔵編、日本評論社) 2009年4月

脚注

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  1. ^ 2005年度 第5回本格ミステリ大賞”. 本格ミステリ作家クラブ. 2025年7月5日閲覧。

関連項目

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