居反り
居反り(いぞり)は、相撲の日本相撲協会制定決まり手八十二手、反り手のひとつである。
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2020年12月17日、日本相撲協会公式YouTubeチャンネル。宇良の居反りの取組動画あり。 |
概要
編集上からのしかかってきた相手の懐に潜り込み、両手で相手の両膝裏を取って持ち上げ、自らの後ろに反り投げる技[1]。
珍しい決まり手で、平成期では幕内の取組では使われていない。十両では1993年1月場所12日目において智ノ花が花ノ国に対して両手でまわしを持った形のこの技で勝っている[2]。また幕下以下では、聡ノ富士が16回以上決めている[3]。2023年7月場所6日目西幕下20枚目の宮城が西幕下22枚目の徳之武藏をこの決まり手で破った[4]。過去には1937年1月場所7日目、大関鏡岩が横綱男女ノ川をこの技で破っているが、横綱大関戦で反り技が出ることは当時でも皆無に等しく、非常に珍しい出来事であった。 なお岡村賢二の漫画「ごっつあんです」では後藤丸がこの決まり手で大門寺を破り、三賞を受賞するというエピソードがある。
宇良は、アマチュア時代に居反りを記録した映像が話題になり、入門前から「居反りの宇良」と呼ばれていた。しかし、本人の信条はあくまで押し相撲であり、入門以来長きに渡り記録していなかった。2016年九州場所で試みたが敗れている。2020年11月12日、十両復帰場所となった11月場所5日目に対旭秀鵬戦で遂に初の居反りを決め白星を挙げた[5]。
居反りは柔道ならば肩車になる[7]。自身も倒れ込んだ場合は裏投となる[8][9]。
日本のレスリング界で居反りといえばダブルリストアームサルトである。日本のサンボ界では相手の袖と襟を持って頭部を相手の腋の下に入れてからの同様の技も「居反り」と呼ばれている[10]。また、サンボには「くぐり居反り」、「肘決め居反り」といった技もある。
きぬうり
編集きぬうりは左(右)四つで寄り立て、相手が波離間投げを打ちそうになった場合、素早く腰を沈め、相手の左(右)脚をもろに取って、左(右)後ろ隅へ反り返す技。公式の決まり手には入ったことがない。公式の決まり手体系にこだわらない『大相撲』誌(読売新聞社)で採用している。
『大相撲』誌が「きぬうり」として掲載した取組として次の取組がある。
この「きぬうり」は、書籍『相撲大鑑』(1909年)にカタカナの「キヌウリ」として見える技名である。
擬帽子反
編集擬帽子反(ぎぼしぞり)は相手の前みつを両手で持って腰を落とし、相手の腹めがけて両手を突き伸ばして相手を反り返す居反り[12]。
脚注
編集- ^ 「観戦必携/すぐわかる スポーツ用語辞典」1998年1月20日発行、発行人・中山俊介、26頁。
- ^ 『大相撲ジャーナル』2017年6月号110頁
- ^ 序二段聡ノ富士、珍手「居反り」実は1人で16度目 日刊スポーツ 2020年7月21日
- ^ “幕下の宮城が大技「居反り」決めた!日体大卒で軽量級元日本代表の業師 反り技は「得意ではない」”. 毎日新聞 (2023年7月14日). 2023年7月15日閲覧。
- ^ “宇良鮮やか居反り「ついに出たと」27年ぶりレア技”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年11月12日) 2020年11月12日閲覧。
- ^ エスコム;日相連 (2021年10月29日). “規程集(2021年7月1日現在)” (pdf). 日本相撲連盟. p. 97. 2025年5月26日閲覧。 “審判規程補則”
- ^ 醍醐敏郎「講道館柔道·投技~分類と名称~(第3回)4、肩車」『柔道』第61巻第7号、講道館、1990年7月1日、31-32頁、NDLJP:6073679/21。
- ^ 嘉納行光、川村禎三、中村良三、醍醐敏郎、竹内善徳『柔道大事典』佐藤宣践(監修)、アテネ書房、日本 東京、1999年11月。ISBN 4871522059。「裏投」
- ^ 醍醐敏郎「講道館柔道・投技 分類と名称(46)裏投(うらなげ)<真捨身技>」『柔道』第66巻第7号、講道館、1995年7月1日、50-51頁。
- ^ ビクトル古賀『これがサンボだ!』ビクトル古賀(監修)、佐山聡(技術協力)(第1版第3刷)、ベースボール・マガジン社、日本、1986年6月25日、74-75頁。「居ぞり」
- ^ 彦山光三『相撲道精鑑』大光館書店、1934年5月10日、218頁。
- ^ 鎗田徳之助 著、雪乃家漁叟 編『日本相撲伝』大黒屋画舗、1902年6月、97頁。
- ^ 樋渡雋次郎『相撲』目黒書店〈日本体育叢書 第8篇〉、1923年6月3日、461-462頁。「第三項 擬寶珠反」
関連項目
編集外部リンク
編集- “居反り - 決まり手八十二手”. 日本相撲協会公式ホームページ. 日本相撲協会. 2025年3月31日閲覧。