招待所(しょうたいじょ)とは、朝鮮民主主義人民共和国において、外国からの拉致被害者工作員を住まわせる施設[1]。多くの場合まかない付きで、山間部や僻地にあり、一般の北朝鮮の人びととの接触が禁じられた隔離施設である[1]

概要

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特殊な仕事に携わる人のため工夫された隔離施設であり、その周囲には武装した警備員が立っている[1]。工作員が宿泊して工作員教育を受けるほか、拉致被害者のように、一般住民から隔離する必要のある人を生活させる場合もある[1]。招待所は東北里元和里忠龍里などにあったことが知られている。

招待所では住人の生活を支えるため数名が働き、「アジュンマ」(おばさん)と呼ばれる中年女性が料理を作り、若い女性が給仕清掃などを担当することが多い[1][注釈 1]庭園の管理や電気修理などを担当する「管理員」と呼ばれる人がいることもある[1]。しかし、拉致被害者や工作員が世話役として働く人々と対面することは通常禁じられており、無許可の外出も禁じられている[1]

2002年に帰国した日本の拉致被害者たち5人は、北朝鮮に連行された直後、招待所で朝鮮語などを習わされたと証言している[1]

2014年10月28日、29日の2日間、外務省伊原純一アジア大洋州局長をはじめとする日本政府担当者は、平壌市を訪問して、同年5月28日に合意されたストックホルム合意によって設置された特別調査委員会と協議した[2]。特別調査委員会は、拉致被害者について「個別に入境の有無や経緯、生活環境等を調査しており、被害者が滞在していた「招待所」跡等の関連場所を改めて調査する」と説明した[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ 食事に関しては、一般の北朝鮮の住民よりはるかに厚遇されていたという[1]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i 北朝鮮「招待所」、厚遇の隔離生活 食事にすしや酢豚も”. asahi.com. 朝日新聞社 (2003年10月22日). 2021年10月5日閲覧。
  2. ^ a b 拉致問題をめぐる日朝間のやり取り”. 外務省 (2024年3月13日). 2025年8月22日閲覧。

参考文献 

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  • 荒木和博『拉致 異常な国家の本質』勉誠出版、2005年2月。ISBN 4-585-05322-0 

関連文献

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