景清洞(かげきよどう)は、山口県美祢市美東町にある鍾乳洞天然記念物に指定されており、天然記念物としての名称は「景清穴(かげきよあな)」である[1]。このほか「赤の穴」[2]や「長生洞」[2]とも称される。

三角田川の流路を示した空中写真
三角田洞に吸込まれ地下を流れて景清洞から出た水は再び大正洞に吸い込まれていく。2008年10月15日撮影の2枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

概要

編集
 
 
景清洞
景清洞の位置

秋吉台秋吉台国定公園)の東北部に位置する猪出台(ししでだい)の下に形成された鍾乳洞である[2]三角田川が猪出台北部で三角田洞に入り、地下水流となった後に景清洞の洞口から地表に出ている[2]

壇ノ浦の戦いで敗れた平家武将平景清がこの洞窟に潜んでいたという伝説があるためこの名がある[2]。別の伝説では、平家の部将である大庭景宗一党がこの洞窟に逃れ住んだが、建久9年に景宗の留守中に追討の兵が押し寄せ、その時これを迎え討った景宗の子、大庭景清に由来しているという[3][4]

洞内には、景清が戦いで負傷した目を洗って治したと伝わる生目八幡や、景清の緞帳・景清明神・かけなど景清にちなんだ鍾乳石を多く見ることができる。また、フズリナサンゴ海藻などの化石も多く見られる[5]

なお、旱魃時に佐山側から洞内を潜り抜ける雨乞いの風習があったとされる[2]

1922年(大正11年)3月に秋芳洞とともに国の天然記念物に指定された(秋芳洞のほうは1952年(昭和27年)3月に国の特別天然記念物となっている[2])。景清洞には1959年(昭和34年)に洞内照明が設置された[2]。さらに1966年(昭和41年)に洞内歩道や照明灯が設置された[2]

2005年に秋吉台地域の他の2つの鍾乳洞、秋芳洞大正洞と共に秋吉台地下水系という名称でラムサール条約登録湿地となった[6]

観光

編集

一般に開放されている約700mの観光コースと、探検のための装備をして入ることのできる約400mの探検コースからなる。

観光コースはバリアフリー化されており、生目八幡宮があるほか、サンゴ天井やカスリ天井などの石灰岩が見られる[7]

観光コースの奥につながる探検コースには照明はなく、ヘルメット・ヘッドライト・長靴の貸し出しを受けて入る(所要時間約60分)[7]

出典

編集
  1. ^ 景清穴”. 文化遺産オンライン. 文化庁. 2025年9月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 大竹 義則、林 正久. “中国地方の地形環境 2 山口県”. 徳山大学総合研究所紀要第30号. p. 9. 2025年9月14日閲覧。
  3. ^ 景清穴(かげきよあな)」美祢市役所、2015年8月29日閲覧。
  4. ^ 吉岡一生『山口伝説散歩 : 防長写伝』、NCID BA78408512、2001年、p.48
  5. ^ 山口県美祢市観光サイト 秋吉台 秋芳洞観光サイト
  6. ^ Akiyoshidai Groundwater System | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2005年11月8日). 2023年4月10日閲覧。
  7. ^ a b 大正洞&景清洞パンフ”. 美祢市. 2022年4月7日閲覧。

外部リンク

編集

座標: 北緯34度17分22.5秒 東経131度19分34.6秒 / 北緯34.289583度 東経131.326278度 / 34.289583; 131.326278