標準数

等比数列を丸めたもの

標準数

  1. JIS Z 8601。製品などの寸法を選ぶための工業規格(JIS Z 8601)による基準値。この項目で記述。
  2. JIS C 60063。IECなどで抵抗器の抵抗値などを決める場合に用いる数値(JIS C 60063)。標準数列。この項目で記述。
  3. JIS B 0601。製品などの表面粗さ等で用いる指示値。標準値。

標準数(ひょうじゅんすう,Preferred number)は等比数列(隣合う数値の比が一定)を丸めたもので、機器の寸法や値などを決める場合に用いる。

歴史

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1877年-1879年頃に当時フランスの軍人であったシャルル・ルナール気球の多種多様なロープの太さをまとめようとしたのがはじまりでルナール数とも呼ばれる。

例えば、4mmのロープ径で不足の場合、1mmプラスした5mmのものが好ましい。一方、40mmのロープの場合、1mmプラスの41mmでは使用上大差がない。この場合、実用上の経験則などから40mmに10mmプラスした50mmのものが好ましい。このように等比数列を用いる。

一見して、先頭(最上位桁)が 1 や 2 である数が多く、8 や 9 の数が少ないことがわかるが、その解説はベンフォードの法則の記事を参照のこと。

JIS Z 8601の標準数

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値はISO 3(日本ではJIS Z 8601)で定められており、R5、R10、R20、R40、R80が制定されている。

R5~R80系列表

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R5 R10 R20 R40 R80
1.00 1.00 1.00 1.00 1.06 1.00 1.03 1.06 1.09
1.12 1.12 1.18 1.12 1.15 1.18 1.22
1.25 1.25 1.25 1.32 1.25 1.28 1.32 1.36
1.40 1.40 1.50 1.40 1.45 1.50 1.55
1.60 1.60 1.60 1.60 1.70 1.60 1.65 1.70 1.75
1.80 1.80 1.90 1.80 1.85 1.90 1.95
2.00 2.00 2.00 2.12 2.00 2.06 2.12 2.18
2.24 2.24 2.36 2.24 2.30 2.36 2.43
2.50 2.50 2.50 2.50 2.65 2.50 2.58 2.65 2.72
2.80 2.80 3.00 2.80 2.90 3.00 3.07
3.15 3.15 3.15 3.35 3.15 3.25 3.35 3.45
3.55 3.55 3.75 3.55 3.65 3.75 3.87
4.00 4.00 4.00 4.00 4.25 4.00 4.12 4.25 4.37
4.50 4.50 4.75 4.50 4.62 4.75 4.87
5.00 5.00 5.00 5.30 5.00 5.15 5.30 5.45
5.60 5.60 6.00 5.60 5.80 6.00 6.15
6.30 6.30 6.30 6.30 6.70 6.30 6.50 6.70 6.90
7.10 7.10 7.50 7.10 7.30 7.50 7.75
8.00 8.00 8.00 8.50 8.00 8.25 8.50 8.75
9.00 9.00 9.50 9.00 9.25 9.50 9.75
R5 R10 R20 R40 R80

JIS C 60063の標準数列

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同様に、抵抗器キャパシタなどの受動素子の値についても、誤差公差許容差)を考慮した等比数列による数列表がJIS C 60063で規格化されており、こちらはE系列と呼ばれる。E3、E6、E12、E24、E48、E96、E192 がある。 E系列の値は、対数目盛の上に振ると、ほぼ等間隔となる。

系列の数を E とすると、以下の式で求められる[1]

 

E3、E6、E12、E24系列では有効数字は2桁、E48、E96、E192系列では有効数字は3桁となる[2]。ただし、これらで求められる数値と数列には逸脱する部分がある[3][注釈 1]

E3~E192系列表

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下表に各系列の数値を示す[注釈 2]。また、JIS C 60063における許容差との関係も合わせて記す[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b 19210185=9.194786863...なので、これを丸めて100倍すると919になるが、規格としては920が採用されている。
  2. ^ E3~E24は、E48~E192の部分集合ではない事に注意(例えば、220はE48~E192には含まれない)。メーカーによっては、和集合を "E96+E24" や "E24・E192" 等といった形でカタログ等に掲載している[4][5][6][7]

出典

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  1. ^ 抵抗値の表示方法”. KOA. 2020年9月26日閲覧。
  2. ^ 「4 標準数列」『JIS C 60063:2018 抵抗器及びコンデンサの標準数列』日本規格協会、2018年2月20日。 
  3. ^ 「4.1 有効数字2桁の標準数列」『JIS C 60063:2018 抵抗器及びコンデンサの標準数列』日本規格協会、2018年2月20日、2頁。「注記 E24標準数列における27~47の範囲及び82の値は,厳密な数学的な規則から逸脱する。ただし,この対応国際規格の第1版が発行された1952年以前にこの標準数列は確立していたため,その歴史的背景を考慮すると,この逸脱の是正は適切ではない。」 
  4. ^ RNS 塗装絶縁形精密級金属皮膜固定抵抗器”. KOA. 2022年8月28日閲覧。
  5. ^ Standard Values Used in Capacitors, Inductors, and Resistors”. ボーンズ英語版 (2017年). 2017年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月11日閲覧。
  6. ^ D/CRCW e3 – Standard Thick Film Chip Resistors – Datasheet”. ビシェイ・インターテクノロジー英語版 (2017年). 2017年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月11日閲覧。
  7. ^ TNPW e3 – High Stability Thin Film Flat Chip Resistors – Datasheet”. ビシェイ・インターテクノロジー英語版 (2017年). 2017年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月11日閲覧。
  8. ^ 「5 E標準数列の適用」『JIS C 60063:2018 抵抗器及びコンデンサの標準数列』日本規格協会、2018年2月20日。 

関連項目

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