爆発限界(ばくはつげんかい、: Explosion Limit)とは、可燃性の蒸気やガス(可燃性ガス)が空気と混合して爆発を起こす濃度範囲[1]。爆発範囲ともいう。

なお、爆発限界や爆発範囲とは別に、燃焼限界 (Flammability limit) や燃焼範囲、可燃性限界 (inflammability limit) という用語もあり、爆発限界と燃焼限界は現象としては区別できるものの[2]、厳密には区別することは困難とされており慣用的にはこれらは同義語として扱われている[2][3]

定義

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可燃性の蒸気やガス(可燃性ガス)が空気と混合して爆発を起こす場合、種類ごとに一定の濃度の範囲内で爆発しうるが、その最低濃度を爆発下限、その最高濃度を爆発上限という[1]。爆発下限が低い物質は爆発を生じる危険性が高い[1]

通常は1気圧の常温の値をいうが[2]、測定値は着火源、容器の形状、温度、圧力などに応じて変化する[3]

なお、可燃性混合気の気体中を火炎が伝わる速度を燃焼速度(火炎伝播速度)という[4]。爆発限界と燃焼限界の関係に関しては、爆発は化学反応としては燃焼であるが、火炎が空間を伝播するという形態をとらず、一定の濃度の可燃性ガスのある全空間で同時的に起こる現象であり違った側面があると指摘されている[2]

応用

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爆発限界は圧力に対し単純な比例関係ではない。

例えば酸水素ガスでは爆発上限界は水素95%でほぼ一定であり、深深度、高圧下では呼吸に必要な酸素分圧を確保しつつ爆発を防ぐことも可能である。[5][6]

脚注

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  1. ^ a b c 須藤梅吉. “塗装覚え書、塗装現場シリーズNO.6、塗装溶剤の取扱について” (PDF). 自転車産業振興協会. 2022年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月8日閲覧。
  2. ^ a b c d 近藤重雄「燃焼限界と爆発限界」『安全工学』第34巻、第5号、安全工学協会、1995年。doi:10.18943/safety.34.5_379ISSN 0570-4480NCID AN00012812国立国会図書館書誌ID:000000001321https://doi.org/10.18943/safety.34.5_379 
  3. ^ a b 可燃性限界”. 用語一覧. 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構. 2023年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月8日閲覧。
  4. ^ 危険物関係用語の解説(第15回)” (PDF). Safety & Tomorrow No.135. 危険物保安技術協会. p. 63 (2011年1月). 2022年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月8日閲覧。
  5. ^ 柳生, 昭三; 松井, 英憲; 松田, 東栄; 安本, 弘 (1969). “水素の爆発限界に及ぼす圧力の影響”. 安全工学 8 (5): 280–286. doi:10.18943/safety.8.5_280. https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/8/5/8_280/_article/-char/ja/. 
  6. ^ 水素を呼吸して命懸けの230メートル:極限の水深に挑む冒険”. Go Deeper. 2025年10月7日閲覧。