=== 中華民国(台湾)の政治における対日感情 ===
[[中国国民党]]政権下においては、日本の中国侵攻による大陸の被害を重視した教育がなされていたが、[[李登輝]]元総統以降の台湾民主化による反動、および李自身が日本の[[植民地]]統治を肯定していたこともあり、「親日」的な学者の勢力が増大し彼らによる[[日本統治時代の台湾|日本統治時代]]についての肯定・賛美などが表立って唱えられるようになった。李政権時代に採用されていた台湾の[[歴史教科書]]では、日本統治時代に台湾の経済基盤の整備や教育の普及、衛生環境の改善などの近代化がなされたと記述されている([[認識台湾]])。[[李登輝]]は[[2009年]]の講演において、「あなたたちの偉大な祖先の功績を知り、誇りに思ってほしい」と訴え、台湾が日本統治下にあった時代に、日本人技師らの貢献で[[インフラストラクチャー|インフラ]]整備などが進められたことを説明し、「公に尽くし、忠誠を尽くした偉大な祖先が作り上げてきた日本精神を学び、あなたたちも大切にしてほしい」と発言した<ref>{{Cite news|author=|url=https://sankei.jp.msn.com/life/education/091218/edc0912181925004-n1.htm|title=「日本人の誇りを持って」 李登輝氏が高校生に講演 台北|newspaper=[[産経新聞]]|publisher=|date=2009-12-18|archiveurl=https://web.archive.org/web/20091221181608/http://sankei.jp.msn.com/life/education/091218/edc0912181925004-n1.htm|archivedate=2009-12-21|deadurldate=}}</ref>。また[[李登輝]]は、日本統治時代に台湾人が学んで純粋培養されたのは、「[[勇気]]」「誠実」「勤勉」「[[奉公]]」「[[自己犠牲]]」「[[責任|責任感]]」「遵法」「清潔」といった「日本精神」であり、[[国共内戦]]後に[[中国大陸]]から来た[[中国国民党]]たちは、自分たちが持ち合わせていない価値観だったので、「日本精神」を台湾人の持ち合わせている気質だと定義して、これらの言葉が広まり、台湾に浸透した「日本精神」があったからこそ、台湾は[[中国文明|中国文化]]に吞み込まれずに[[市民社会|近代社会]]を確立できたのであり、台湾人の親日の背景にはこうした歴史的経緯があると述べている<ref >{{Cite news |author=[[李登輝]] |url=https://books.google.co.jp/books?id=Lrxf36yn1VwC&pg=PT40#v=onepage&q&f=false |title=台湾が感動した安倍総理の友人発言 |newspaper=[[Voice (雑誌)|Voice]] |publisher=[[PHP研究所]] |date=2013-05 |archiveurl= |archivedate= |page=40}}</ref>。また李登輝は、日台は現在のところ正式な[[国交|外交関係]]がないため、[[経済]]・[[文化]]交流を強化すれば良いという意見が多く、経済・文化交流を促進して、[[日本人]]と[[台湾人]]の心の絆を深めることは重要であるが、日本人が[[中華思想|中華意識]]に囚われて台湾を軽視した場合、日本は地政学的危機に陥ってしまい、まさしく日台は[[生命]]([[運命]])[[共同体]]なのであり、このことを日本人は常に意識して欲しいとしている<ref name="Voice">{{Cite news |author=[[李登輝]] |url=https://books.google.co.jp/books?id=Lrxf36yn1VwC&pg=PT42#v=onepage&q&f=false |title=台湾が感動した安倍総理の友人発言 |newspaper=[[Voice (雑誌)|Voice]] |publisher=[[PHP研究所]] |date=2013-05 |archiveurl= |archivedate= |page=42}}</ref>。
台湾における各種[[世論調査]]では台湾人は日本に好意的であり、[[2009年]]に[[財団法人]][[日本台湾交流協会|交流協会]]が実施した初の台湾人対象の対日意識世論調査では、「日本に親しみを感じる」が69%で、「親しみを感じない」の12%を大きく上回った。「最も好きな国」としても38%が日本を挙げ、2位のアメリカ(5%)、中国(2%)を大きく上回った<ref>{{cite press release| title = 台湾における対日世論調査| publisher = [[日本台湾交流協会|交流協会]]| date = 2009-04-22 | url = http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/04/902CF24F8C0C64824925759F0037CA22/$FILE/Japanese.pdf| accessdate = |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160402193332/http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/04/902CF24F8C0C64824925759F0037CA22/$FILE/Japanese.pdf|archivedate=2016-04-02 }}</ref>。[[2010年]]に[[財団法人]][[日本台湾交流協会|交流協会]]が実施した「台湾における対日世論調査」では、「日本に親しみを感じる」が62%で、「親しみを感じない」の13%を大きく上回り、「最も好きな国」としても52%が日本を挙げ、2位のアメリカ(8%)、中国(5%)を大きく上回った<ref>{{Cite press release| title = 台湾における対日世論調査| publisher = [[日本台湾交流協会|交流協会]]| date = 2010-03| format = [[PDF]]| url = http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/04/52F6843250D2FB0E492576EF00256445/$FILE/detail-japanese.pdf| accessdate =| archiveurl=https://web.archive.org/web/20161226072626/https://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/04/52F6843250D2FB0E492576EF00256445/$FILE/detail-japanese.pdf|archivedate=2016-12-26 }}</ref>。
2006年に台湾の『{{仮リンク|遠見雑誌|zh|遠見雜誌}}』が、20歳以上の台湾人1000人に「移民したい」「行ってみたい」「尊敬すべき」「留学したい国」の4項目を調査した結果、日本が「移民したい」「行ってみたい」「尊敬すべき」の3項目でそれぞれ1位を獲得した。[[謝雅梅]]は、「日本統治時代、その目的はどうであれ、日本が台湾のインフラを整備したことは今でも高く評価されてます」「日本のテレビ番組や雑誌なども昔からあって、よく見てました。今、20代くらいの若者には、日本の[[音楽]]や[[ファッション]]、[[マンガ]]やゲームなどの[[サブカルチャー]]が人気です。彼らの世代になると、もう日本との歴史をよく知らないんですよ。台湾も、日本のようにアメリカの影響は大きいんですが、やはり同じアジアの日本文化の方が肌に合う。これは一過性の流行ではなく、親日感情は昔から繋がっているんです」「文化は日本、経済はアメリカにもっとも影響を受けています。それに、アジアのなかで経済発展を遂げた境遇も似ていますし、親近感があるんです」とコメントしている<ref>{{Cite news|author=|url=http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20070802-90002642-r25 |title=どうして台湾は、こんなに親日なんですか?|newspaper=[[R25 (雑誌)|R25]]|publisher=|date=2007-08-02|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130531023947/http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20070802-90002642-r25 |archivedate=2013-05-31|deadurldate=}}</ref>。
[[民主進歩党]]系の[[シンクタンク]]である[[台湾国策研究院]]が2006年に実施した世論調査では、台湾で一番好かれている外国人は日本人で27.1%、アメリカ人22.7%、中国人11.1%、韓国人9.3%だった。[[台湾智庫]]が2008年に行った世論調査では、「中国、アメリカ、日本、韓国の4カ国の中で、全体的にどこの国に最も好感を持っているか」という設問では、日本が最多の40.2%で、アメリカは25.7%、韓国は5.4%、中国は5.1%だった<ref>{{Cite journal|和書|author=小林良樹 |title=中国における「対日感情」に関する考察:各種世論調査結果の複合的分析 |journal=アジア研究 |issn=0044-9237 |publisher=アジア政経学会 |year=2008 |volume=54 |issue=4 |pages=87-108 |naid=130004690050 |doi=10.11479/asianstudies.54.4_87 |url=https://doi.org/10.11479/asianstudies.54.4_87}}</ref>。
2009年に台湾の[[財団法人]][[金車教育基金会]]が台湾の学生の対象に実施した意識調査「最も友好的な国・最も非友好的な国」では、日本は「最も友好的な国」の第1位(44.4%)で、日本が首位になったのは3回目だった<ref>{{Cite news|author=|url=http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0715&f=national_0715_014.shtml|title=最も友好的な国は日本、非友好的は「中国大陸」―台湾アンケ|newspaper=[[サーチナ (ポータルサイト)|サーチナ]]|date=2009-07-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090718194125/http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0715&f=national_0715_014.shtml|archivedate=2009-07-18|deadurldate=}}</ref>。
『[[ワシントン・ポスト]]』は、「台湾は、1895年から1945年まで日本の占領下にあったにもかかわらず、アジアにおいて稀有な親日感情を抱き続けている。台湾人の年輩者らは未だに日本語と日本文化に大変な共感を示す。台湾は毎時200マイル走行が可能な日本の弾丸列車を30億ドルで導入し、先月(試験走行を)開始した。また、日本政府は、12月に台湾の李登輝元総統(彼は日本で教育を受け、親愛の念を抱く大学時代の元教授と再会を果たした)に観光ビザを発給したが、中国側はこれに激しく反発した」と報道した<ref>{{Cite news| author = Anthony Faiola| url = http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A33297-2005Feb17.html| title = Japan to Join U.S. Policy on Taiwan| newspaper = [[ワシントン・ポスト]] | date = 2005-02-18| accessdate = | language = 英語 |archiveurl= https://web.archive.org/web/20091203211914/http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A33297-2005Feb17.html|archivedate=2009-12-03}}</ref>。
[[馬英九]][[中華民国総統|総統]]の外交政策・対日戦略のブレーンで[[中華民国総統府]][[国家安全会議]]諮問委員を務める[[楊永明]]は、「一般的に言って、日台間では相互に友好感情が存在するという基本認識がある。台湾はおそらく世界で最も親日的な社会であり、日本でも台湾に対する好感が広範に存在するのである」と指摘している<ref>{{Cite book|和書|author=[[川島真]]・[[清水麗]]・[[松田康博]]・[[楊永明]] |date=2009-03-01 |title=日台関係史 1945‐2008 |series= |publisher=[[東京大学出版会]] |ISBN=978-4130322119 |page=}}</ref>。同じく中華民国総統府国家安全会議諮問委員(閣僚級、日台関係担当)を務める[[李嘉進]]は、「日台は『感情の関係』だ。普通の外交関係は国益が基本だが、日台は特別。お互いの好感度が抜群に高い。戦前からの歴史が育てた深い感情が出発点となっている」と発言している<ref>{{Cite news|author=|url=http://www.asahi.com/special/kajin/TKY201003230278.html|title=道を探る 台湾の未来思い、選挙支援へ動く―第11部〈台湾脈脈〉|newspaper=[[朝日新聞]]|publisher=|date=2010-03-23|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200706193315/http://www.asahi.com/special/kajin/TKY201003230278.html|archivedate=2020-07-06|deadurldate=}}</ref>。
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