踏切支障報知装置

踏切で車両が立ち往生した場合に、踏切が塞がれている事を駅や列車に知らせる為の保安装置

踏切支障報知装置(ふみきりししょうほうちそうち)は、踏切車両などが立ち往生したり危険が発生したりした場合に、踏切が塞がれている事を駅や列車に知らせるための保安装置で、いわゆる「踏切非常ボタン」と呼ばれるものである。

踏切支障報知装置
取り扱い方法・連絡先を記した看板

概要

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踏切の柱に取り付けられたボックスに収められており、近くには使用法と使った場合の連絡先(主に事業者の運転指令所、地方の場合は踏切に一番近い)などが書かれた表示板が付けられている。クラッカープレートや透明のカバーで覆われたボタンを押すと、直近の信号機に停止信号を現示するほか、柱に装備されている信号炎管の発炎信号や特殊信号発光機の発光信号により停止信号を現示し、踏切支障を運転士に知らせる。ボタンやボックスの形状は製造メーカー・路線によって異なり、ボックスも赤く縁取られた灰色のほか、黄色の物や発光ダイオードで目印の内照が組み込まれた物も存在する。

日本の踏切では、複線区間の場合、警報機が設置されている第1種甲・第3種とも、踏切の幅や道路通行量列車の本数に関係なく、軌道線を除くJR私鉄とも国土交通省令によって設置が義務付けられている。

日本では1964年(昭和39年)2月19日から中央本線吉祥寺駅 - 三鷹駅間の文化園踏切で実用化の試験が行われ[1]、その結果日本国内の国鉄路線に整備が進められた[2]

その他

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  • 正当な理由なく非常時以外、故意にボタンを押して踏切支障報知装置を作動させた場合およびそれによって列車の遅延・運休が生じた場合は、業務妨害罪鉄道営業法違反に問われる場合があるほか[3]鉄道会社から損害賠償請求されることがある。
  • 子供が悪戯で押すことを考慮し上部に「いたずらするとしかられます」と平仮名で書かれたシールが貼られている踏切支障報知装置もある。
  • 2017年9月10日に小田急電鉄小田原線参宮橋駅 - 代々木八幡駅間の線路脇で発生した火災では、消防からの要請を受けた警察官が近くの踏切の支障報知装置を作動させたため、装置信号より強制的に列車が火災現場のそばに停車する事態となり、車両に延焼する結果となった[4]

出典

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  1. ^ 「まず中央線でテスト 踏切支障報知装置が完成」『交通新聞』交通協力会、1964年1月16日、1面。
  2. ^ 「頻発する事故防止に 踏切支障報知装置の実用化」、『運輸』14巻3号、運輸故資更生協会、doi:10.11501/2275132 pp. 23-24
  3. ^ “豊橋鉄道 踏切の非常ボタン24カ所で押される”. 毎日新聞. (2017年6月5日). https://mainichi.jp/articles/20170606/k00/00m/040/092000c 2017年6月8日閲覧。 
  4. ^ “警官が非常停止ボタン、たまたま火災現場脇 小田急延焼”. 朝日新聞. (2017年9月11日). https://www.asahi.com/articles/ASK9C3525K9CUTIL007.html 2018年7月11日閲覧。