長谷部文雄
日本の経済学者
長谷部 文雄(はせべ ふみお、1897年(明治30年)6月29日 - 1979年(昭和54年)6月13日)は、日本の経済学者。
愛媛県出身。愛媛県立今治中学校卒業後、第一高等学校に進学[1]し、1920年に同校英法科を卒業[2]し、京都帝国大学経済学部に入学[3]。1923年に学士試験に合格[4]し、「経済原論」の研究のため、同大学大学院に進学する[5]。その後、同志社大学講師となり、教授であった1933年には治安維持法違反で検挙起訴され[6]、同志社大学を退職した[7]。戦後、立命館大学教授、龍谷大学教授、1977年退職。
著書
編集- 『資本論随筆』青木新書、1956
共編
編集翻訳
編集- タウシッグ『経済学原理』弘文堂書房、1923-25 (当初河上肇博士のもとでの演習として訳しはじめたが、訳文が出版できるレベルなので全訳する事になったもの。)
- マルクス『資本論初版首章及附録 原文対訳』弘文堂書房ほか、1928
- リアザノフ『マルクス・エンゲルス伝』岩波文庫、1928 独訳よりの翻訳、他に英訳も参照している
- レーニン『資本主義の最近の段階としての帝国主義』岩波文庫、1929 独訳よりの翻訳、英訳なども参照している。
- マルクス『資本論初版鈔』岩波文庫、1929 (上記『資本論初版首章及び付録』の訳文のみを収録したもの)
- エンゲルス『反デューリング論』岩波文庫、1931(上/下)
- ローザ・ルクセンブルグ『資本蓄積論』岩波文庫、1934 のち改訳して青木文庫(各3冊)
- ローザ・ルクセンブルグ『資本蓄積再論 亜流はマルクスの理論から何を作ったか』岩波文庫、1935 のち改訳して青木文庫。
- マルクス『賃銀・価格および利潤』岩波文庫、1935
- マルクス『賃労働と資本』岩波文庫、1935
- マルクス『「資本論」への序 インスティテュト版』ナウカ社、1936 のち青木書店版「資本論」に収載
- マルクス著 エンゲルス編『資本論』日本評論社(1937年版は原書第一巻部分のみを上下で戦時体制のため中絶、戦後第一巻部分は全面改訳し更に第二巻以降も全訳、全11冊)、1937-50 のち青木文庫(全13冊)/青木書店(全5冊)、角川文庫(既刊8冊・9冊目は索引にあてられており今日迄未刊である) 河出書房新社「世界の大思想」(全4冊) 日本評論社版は高畠素之訳に次ぐ二番目の完訳。青木書店版と青木文庫とは日本評論社版を改訳したもので青木書店版の版面を縮写印刷したものが文庫版で両者の丁付けは一致する。角川文庫版は青木文庫版を更に改訳したもの。河出書房版は角川文庫版を修正したもので長谷部訳「資本論」の最終版。角川文庫版以降はレーニンの論文などは含まれていない。
- H・G・ウェルズ『世界文化史概観』岩波新書(上/下)、1939
- レーニン『カール・マルクス』青木文庫、1964 (青木文庫版『資本論』第一分冊の巻頭に掲載されていた訳文を改訳したもの。『資本論』の研究所版の巻頭にある独語訳より翻訳)
- H.G.ウェルズ『世界史概観』阿部知二共訳 岩波新書、1966 上記1939年版『世界文化史概観』を阿部知二が原著の新版によって改訳したもの
参考
編集- 署名なし「長谷部文雄教授略歴、長谷部文雄教授著作目録」『龍谷大学経済経営論集』第17巻第3号、1977年、320-321頁、国立国会図書館書誌ID:1863642。
- コトバンク
脚注
編集- ^ 『第一高等学校一覧 自大正6年至大正7年』第一高等学校、1917年12月22日、133頁。NDLJP:940280/42。
- ^ 『官報』第2375号、大正9年7月2日、56頁。NDLJP:2954488/13
- ^ 『京都帝国大学一覧 自大正9年至大正11年』京都帝国大学、1921年12月28日、346頁。NDLJP:940185/180。
- ^ 『官報』第3245号、大正12年5月26日、686頁。NDLJP:2955368/6
- ^ 『官報』第3228号、大正12年5月7日、172頁。NDLJP:2955351/9
- ^ 『特高月報』昭和8年8月分、内務省警保局保安課、1933年、6頁。特高月報・昭和8年8月分 - 国立公文書館デジタルアーカイブ
- ^ 野村重臣『同志社大学を去るに臨みて 同志社教育粛清の必要』野村重臣、1936年4月25日、6頁。NDLJP:1456029/5。