2002 FIFAワールドカップ・決勝トーナメント
2002 FIFAワールドカップの決勝トーナメント(ノックアウトステージ)は、8組のグループステージの上位2チーム(合計16チーム)が進出し、シングルエリミネーションスタイルのトーナメントを行う。
フォーマット
編集決勝トーナメントでは、90分(前後半45分)が終了しても同点の場合は、30分(前後半15分)の延長戦を実施する。延長戦はゴールデンゴール方式を採用し、どちらかの得点があった場合はその時点で試合終了となる。延長戦後も同点の場合はPK戦によって勝者を決定する。
進出チーム
編集8つのグループのそれぞれ上位2チームが決勝トーナメントに進出する。
決勝トーナメントでは、どの国もラウンド16から準決勝までは同じ国で対戦するように組み合わせが設定されたが、ラウンド16の組み合わせが全てグループA-D(韓国で対戦)とグループE-H(日本で対戦)の組み合わせとなったことから、16ヶ国中8ヶ国はグループステージ終了後に日本から韓国へ(或いはその逆)の移動が必要となった。
| グループ | グループ1位 | グループ2位 |
|---|---|---|
| A | デンマーク | セネガル |
| B | スペイン | パラグアイ |
| C | ブラジル | トルコ |
| D | 韓国 | アメリカ合衆国 |
| E | ドイツ | アイルランド |
| F | スウェーデン | イングランド |
| G | メキシコ | イタリア |
| H | 日本 | ベルギー |
トーナメント表
編集| ラウンド16 | 準々決勝 | 準決勝 | 決勝 | |||||||||||
| 6月15日 – 西帰浦 | ||||||||||||||
| ドイツ | 1 | |||||||||||||
| 6月21日 – 蔚山 | ||||||||||||||
| パラグアイ | 0 | |||||||||||||
| ドイツ | 1 | |||||||||||||
| 6月17日 – 全州 | ||||||||||||||
| アメリカ合衆国 | 0 | |||||||||||||
| メキシコ | 0 | |||||||||||||
| 6月25日 – ソウル | ||||||||||||||
| アメリカ合衆国 | 2 | |||||||||||||
| ドイツ | 1 | |||||||||||||
| 6月16日 – 水原 | ||||||||||||||
| 韓国 | 0 | |||||||||||||
| スペイン (p) | 1 (3) | |||||||||||||
| 6月22日 – 光州 | ||||||||||||||
| アイルランド | 1 (2) | |||||||||||||
| スペイン | 0 (3) | |||||||||||||
| 6月18日 – 大田 | ||||||||||||||
| 韓国 (p) | 0 (5) | |||||||||||||
| 韓国 (延長) | 2 | |||||||||||||
| 6月30日 – 横浜 | ||||||||||||||
| イタリア | 1 | |||||||||||||
| ドイツ | 0 | |||||||||||||
| 6月15日 – 新潟 | ||||||||||||||
| ブラジル | 2 | |||||||||||||
| デンマーク | 0 | |||||||||||||
| 6月21日 – 静岡 | ||||||||||||||
| イングランド | 3 | |||||||||||||
| イングランド | 1 | |||||||||||||
| 6月17日 – 神戸 | ||||||||||||||
| ブラジル | 2 | |||||||||||||
| ブラジル | 2 | |||||||||||||
| 6月26日 – さいたま | ||||||||||||||
| ベルギー | 0 | |||||||||||||
| ブラジル | 1 | |||||||||||||
| 6月16日 – 大分 | ||||||||||||||
| トルコ | 0 | 3位決定戦 | ||||||||||||
| スウェーデン | 1 | |||||||||||||
| 6月22日 – 大阪 | 6月29日 – 大邱 | |||||||||||||
| セネガル (延長) | 2 | |||||||||||||
| セネガル | 0 | 韓国 | 2 | |||||||||||
| 6月18日 – 宮城 | ||||||||||||||
| トルコ (延長) | 1 | トルコ | 3 | |||||||||||
| 日本 | 0 | |||||||||||||
| トルコ | 1 | |||||||||||||
ラウンド16
編集ドイツ vs パラグアイ
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
デンマーク vs イングランド
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
スウェーデン vs セネガル
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
スペイン vs アイルランド
編集
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
メキシコ vs アメリカ
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ブラジル vs ベルギー
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本 vs トルコ
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
韓国 vs イタリア
編集この試合は、主審のバイロン・モレノの複数のジャッジが物議を醸した。
前半5分にはイタリアDFクリスティアン・パヌッチがペナルティエリア内で韓国FW薛琦鉉を倒したとしてペナルティーキックの判定を与え(これは安貞桓のキックをジャンルイジ・ブッフォンが防いで得点ならず)、後半27分には韓国FW黄善洪がイタリアMFジャンルカ・ザンブロッタの臀部に足裏を見せるレッドカードに相当するようなタックルをした(このプレーでザンブロッタは交代を余儀なくされた)ものの黄善洪に警告すら出さず、延長前半15分にはイタリアFWフランチェスコ・トッティがペナルティエリア内で相手に倒されたプレーを「トッティのシミュレーション」と判断して2枚目のイエローカードを提示、さらには延長後半5分にはイタリアMFダミアーノ・トンマージがゴールデンゴールを挙げたように見えたプレーをオフサイドの判定で取り消し、最終的に韓国FW安貞桓のゴールデンゴールで韓国がイタリアを破りアジア勢36年ぶりの準々決勝進出をもたらす結末となった[1][2][3][4][5][6][7]。
イタリアに不利になるジャッジが立て続けに続いた内容(特にトッティへの2枚目のイエローカード判定)は試合直後から猛烈に批判され[2]、イタリアを意図的に敗退させる為のジャッジだったのではないかとの声が挙がった[8]ほか、監督のジョバンニ・トラパットーニは主催国の一方がトーナメントに残るように企てられたFIFAによる陰謀ではないかとの発言を残している[9]。FIFA会長のゼップ・ブラッターはトンマージのオフサイド判定は副審による「事故」のようなものだとしてモレノのジャッジを批判したものの、「イタリアが敗退したのは、主審や副審が意図的ではなく人為的なミスを犯したからだけではない。イタリアは守備と攻撃の両方でミスを犯した」と述べてFIFAによる陰謀論を否定している[5][10]。
トッティへの2枚目のイエローカードと、トンマージのオフサイド判定についてはFIFAが設立100周年を記念して企画されたDVD「FIFA FEVER」内でワールドカップ史上に残る誤審10選の2つに取り上げられている[11]が、モレノ自身は2022年4月のガゼッタ・デロ・スポルトによるインタビューで、自身の明確なミスジャッジは黄善洪にレッドカードを出さなかったことだけだったとした上で「(この試合の)自己採点をするなら(10点満点で)8.5」「韓国対イタリア戦は、レフェリー人生最高の試合の1つ」と述べている[7]。
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
準々決勝
編集イングランド vs ブラジル
編集ブラジル
|
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ドイツ vs アメリカ
編集
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
スペイン vs 韓国
編集この試合は、ガマル・ガンドゥール率いる審判団の下した2つのゴール取り消し判定が試合結果に大きな影響を及ぼした。
後半3分、スペインのフリーキックをMFルベン・バラハが合わせてゴールを決めたかのように見えたが、ガンドゥールはスペインにシャツを引っ張った行為があったとしてゴールを取り消し。さらに延長前半2分には右サイドを突破したFWホアキン・サンチェスのクロスからFWフェルナンド・モリエンテスがヘディングシュートを決めたかのように見えたが、今度はホアキンのクロスの前にボールがゴールラインを割っていたとして再びゴールを取り消す(リプレイ映像を見る限り、ボールはゴールラインを割っているように見えなかった)。この結果、試合は延長を含めた120分間でスコアレスに終わり、PK戦の末韓国が準決勝進出を決めた[12]。試合後、スペインFWイバン・エルゲラは激昂して「ここで起こったことは(審判団による)強盗だ」と叫びながら審判団に詰め寄り、仲間に引き留められる事態となった[13]。
韓国が決勝トーナメントで2試合続けて「疑惑の判定」で勝ち上がったことについて、デイリー・テレグラフは記事の冒頭で「警告: 韓国を応援するな。彼らにはワールドカップの準決勝に出場する権利はない」「記録は嘘で、この大会は茶番劇に堕ちた」と激しい論調で断じた[13]。また、試合から19年後の2021年6月22日にはスペインのスポーツ紙「AS」の公式Instagramが「19年前の今日、スペインは物議を醸しているアル=ガンドゥールの判定により韓国のW杯で敗退した」との文章を添えてこの試合の写真3枚を投稿すると、多くの反響が寄せられた[14]。なお、この試合の2つのゴール取り消し判定もFIFA設立100周年記念DVD「FIFA FEVER」内でワールドカップ史上に残る誤審10選の2つに取り上げられている[11]
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
セネガル vs トルコ
編集
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
準決勝
編集ドイツ vs 韓国
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ブラジル vs トルコ
編集
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
3位決定戦
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
決勝
編集
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
試合方式 |
出典
編集- ^ “World Cup: 25 stunning moments … No21: Italy lose to South Korea in 2002”. The Guardian (2014年6月1日). 2017年11月12日閲覧。
- ^ a b “Fifa investigates Moreno”. BBC News. (2002年9月13日)
- ^ Tonelli, Matteo (2002年6月18日). “Corea del Sud-Italia 2–1” (Italian). la Repubblica 2015年1月29日閲覧。
- ^ Ingle, Sean (2002年6月18日). “South Korea 2 - 1 Italy”. The Guardian. 2017年11月12日閲覧。
- ^ a b “Soccer Referees on Run, and They Can't Hide”. The New York Times (2002年6月21日). 2023年1月9日閲覧。
- ^ Mura, Gianni (2002年6月19日). “Gli errori degli azzurri” (Italian). la Repubblica 2018年1月20日閲覧。
- ^ a b 弓削高志 (2022年6月18日). “〈W杯史に残る誤審劇〉韓国vsイタリアから20年…「レフェリー人生最高の試合の1つ」忌み嫌われた審判モレノが認めない“2つのミス””. Number Web. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Angry Italy blame 'conspiracy'”. Soccernet (2002年6月19日). 2006年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年8月6日閲覧。
- ^ Ghosh, Bobby (2002年6月24日). “Lay Off the Refs”. Time. オリジナルの2010年2月10日時点におけるアーカイブ。 2010年4月28日閲覧。
- ^ “Blatter condemns officials”. BBC News. (2002年6月20日) 2023年1月9日閲覧。
- ^ a b 田邊雅之 (2004年12月2日). “日韓W杯の誤審疑惑をFIFAが公式認定?”. Number Web. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Korean dream lives on”. BBCスポーツ. (2002年6月22日) 2017年11月13日閲覧。
- ^ a b Hayward, Paul (2006年6月23日). “Korean miracle spoilt by refereeing farce”. デイリー・テレグラフ (London) 2017年11月13日閲覧。
- ^ “「史上最大の強盗」 日韓W杯の“誤審騒動”、スペイン紙回顧に反響「怒りと痛みを引き出した」”. Football ZONE (2021年6月25日). 2023年1月9日閲覧。