GLA (宗教法人)
1969年(昭和44年)4月8日に高橋信次によって創立され、1973年に宗教法人として認証された。
1976年より高橋佳子が主宰を務めている。東京都台東区に本部を置く。
概要
編集GLAは、会員一人ひとりが「自己の確立」と「世界の調和」を目指し、神の光をこの世界に具現していくことを理念としているとされる[2]。
人間を「魂・心・肉体」から成る存在と捉える人間観・世界観を基盤としており、人間は永遠の生命である魂存在であり、人生には使命と目的があるとする立場をとる。そのため、会員は「魂の学」と称する実践的な学びを通して、心の成長と現実的調和を目指す活動を行っている。
子ども、青年、中高年向けのなどの世代別研修や、経営・医療・教育といった専門分野別の学びの場を設け、日常生活における実践に重きを置いているとしている[2]。
- 正式名称 宗教法人GLA[1]
- 通称 GLA
- 創立日 1969年4月8日
- 法人認証 1973年3月28日
- 本尊 なし
- 教典 『新・祈りのみち』(高橋佳子著) 『生命の余白に』(高橋佳子著) 『心行』(高橋信次著)他
- 創立者
- 高橋信次(たかはし しんじ)
- 現主宰 高橋佳子(たかはし けいこ)
- 信者数 約5万人
- 本部所在地 111-0034 東京都台東区雷門2-18-3 GLA総合本部本館
- 聖地の名称と所在地 GLA八ヶ岳いのちの里 408-0018 山梨県北杜市高根町村山西割4283番地
呼称
編集GLAは創立当初の1969年には神光会あるいは大宇宙神光会[3]と称していたが、1970年に団体の名称をGod(神)Light(光)Association(会)の各語の頭文字を取ったGLAに改めた[4]。1973年に宗教法人になり[4]、2013年1月に法人名をジー・エル・エー総合本部から宗教法人GLAへ変更した[2]。
教義
編集- 高橋信次、高橋佳子に共通する教義は以下の通りとされる。 1.永遠普遍の神理に還れ(GLAの原点) 2.大宇宙は神の体であり、循環の法則によって貫かれている(宇宙論) 3.人間は、目的と使命を抱く永遠なる魂である(人間論) 4.人生に無意味なものはない(現象論) 5.自己の探求を通して人生の目的を果たす(実践論)[5]
- 高橋信次は著作『心行』にGLAの教義を示したとされる[5]。「人間は肉体のみの存在ではなく、その本質は魂であり、人智を超えた大いなる存在、神仏によって生かされている」こと、さらに「すべての人間は、自己の確立と世界の調和のために生まれてきた」ことを説き、物質経済至上主義の風潮の時代に、心の尊厳性をさまざまな角度からとらえ、人間の正しい生き方、正法を生きることを示した[6]。
- 高橋佳子は、現代社会が抱える様々な課題の根本に、人間が永遠の生命としての「魂の原点」を見失った存在の空洞化があると説く[7]。一切の源なる生命にして、宇宙の意志たる「大宇宙大神霊・仏」ともいうべき「大いなる光」を崇拝の対象としている[8]。 そして、一人ひとりが本当の自分に目覚め、魂の目的と使命(ミッションワーク)を果たし、より輝ける人生を取り戻してゆけるように研鑽をかさねているとしている。そして、会員の「魂の学」の実践を助力し、それぞれの家庭や職場、社会が調和され、世界に貢献してゆくことがGLAの願いであると述べている[1]。
継承
編集1976年 高橋信次は体調が悪化する中、法の継承者(信次が説いた宇宙の真理を受け継いで説く者)が高橋佳子であることを繰り返し説いた。自らが48歳で死去することを当時の幹部らに予言し、今後、複数の人たちが ”高橋信次から通信を受けた” と言い出すが、あの世に帰ってから通信するのは佳子だけであると語ったという[5]。
高橋信次死去後、妻の一栄がGLAの会長になり、高橋佳子が後継者となることを宣言した。しかしGLAの主導権を巡って佳子を支持する若手の会員と、他教団を遍歴した経験のある年配の幹部との間で対立が生じ[5] 、主に若手が残り、年配の幹部の多くは脱退した[9]。脱退した講師たちは各々一派を作って教祖となった[10]。
沿革
編集- 1968年7月 - 高橋信次は宇宙を貫く法(神理)を悟る境地に到達した。人間は誰もが永遠の生命を生きる存在であり、人生の目的は「自己の確立」と「世界の調和」であることを説き、調和のとれたユートピアの建設をめざした。[11]
- 1969年 - 創始者高橋信次の許に集った有志により「大宇宙神光会」が創設される。[11]
- 1970年 - 会名を「GLA」に変更。
- 1973年 - 霊友会から分派した「瑞法会教団」が帰依し関西本部となった(信次の死後離脱)。
組織・施設
編集- 総合本部本館[GLA 5]
東京都台東区雷門2-18-3
- 人生祈念館
山梨県北杜市にあるGLAの宗教施設。2013年に山梨県北杜市に開設した。2014年、「高橋信次先生ご光跡『奉納の儀』」が執り行われる[14]。2014年8月から10月にかけて信濃毎日新聞など各地方紙で「新宗教にみる葬送」と題して、人生祈念館では遺骨を30年後に散骨することなど、その活動と趣旨が紹介された[15]。
- GLA 中京会館
GLA 中京会館は愛知県名古屋市にある。GLA中京本部のある建物。「魂の学」を日本全国・海外へ発信する新たな主要拠点の一つとなる[注 10]。2016年開所、GLA地方本部としては最も大きな会館となる[17]。
会員数
編集GLAの会員数は、1976年6月(高橋信次の死去時)9千人弱[18]、1976年末8761人、1978年9千人(『日本宗教総覧』)、1988年1.3万人(同)、1994年1.6万人、2001年2万人(『日本宗教総覧』)、2006年2.6万人[18]、2014年4万2,437人(物故会員 5,899人を含む)、2020年4月6万85人(物故会員 11,519人を含む。GLAによるデータ)、2023年62,839人(物故会員15,609人を含む)[19]
宗教活動
編集- 冠婚葬祭
GLAでは、希望する会員の各々の冠婚葬祭についてそれを執り行っている[GLA 6]。
- 命名の儀
「命名の儀」は、両親や親族によってつけられた「名」が、司祭の祈りとともに嬰児に授けられる。[GLA 7]
- 結婚式
結婚式(結婚と誓いの儀)は、新郎新婦が深い絆によって結ばれる生涯の伴侶として、ひとつの家庭を築き、ともに人生を歩み続けることを誓い合う場として行われる。[GLA 8]
- 葬儀
葬儀では、何よりも故人を偲び、 故人への畏敬と感謝とともに、あの世での道行きに神理の光が注がれるように祈りを捧げることが大切にされる。それは、この世での修行を終えた故人の魂が、赴くべきところに旅立ってゆく「人生の卒業式」と受け止められている。
葬儀にあたっては、故人の人生の道のりをしたためた小さな栞(葬儀の栞)が作成される。それを通して、参列者は、故人の人生や人柄をより深く知り、かけがえのない別れの時が実現されるという。[GLA 9]
- 供養行ならびに特別供養
「供養行」の取り組みは、供養行について書いてある冊子にもとづいて会員個人によって行われる。「供養行」は、一定の期間、取り組む本人が自らの人生を振り返り、心の浄化を深めながらあの世の魂との絆を深め、思い出を想起し、祈り、語りかけ、共に魂の成長と進化の道を歩んでゆくものである。
特別供養は、2009年、GLAの主宰によって新たに開かれた供養の場である。その場では、特別供養を申し込んだ会員の個人的な供養行の取り組みを経たのち、当日は、司祭の祈り添えによる供養が執り行われる。年2回、GLA会員とその親族を対象にGLA各本部で開催されている。[GLA 10]
集いやセミナー
編集GLAには、研鑽システム(各種の集いやセミナーなど)がある。
- 聖日の集い
聖日とは、1年の中に定められた、GLAが大切にしている聖なる日のこと。[GLA 11][注 11]
- 新年の集い(年の始まり)
- 善友の集い(GLA創立記念日)
- 現身の集い(創始者高橋信次の命日)
- 感謝の集い(年の終わり)
- 善友の集い
GLAの年中行事の一つである善友の集いは毎年4月に創立記念日にちなんで開催され、GLAが定める聖日の一つである[20]。
1994年の善友の集いで行われた主宰者高橋佳子の講演は、「GLAにおけるもっとも重要かつ基本的な研鑚の場」である「ニュープロジェクト研鑽」[注 12]が開始される契機となった[20]。2004年の善友の集いでは「GLA会員憲章」が採択された[20]。2019年の善友の集いではGLA創立50周年記念式典が行われた[20]。
GLAによれば、ゴータマ・シッダッタが、「善友」の意義を問う弟子に対して「善き友を得るとは、道のすべてにもあたることだ」と語ったとされることが、GLAの善友の集いの原点である[注 13]。
- 層別セミナー
年齢層(層別)に分かれて行われるセミナー。[注 14]セミナーでは、主宰者である高橋佳子の講演やオリジナル教材を基に、その世代ならではの課題に取り組む。[注 15] [GLA 12]
- グループ学習
1カ月に2回、2時間程度、自宅や職場が近くの会員5、6名が1つのグループをつくって、「魂の学」の基本を学ぶ場。2017年現在、約3000グループが活動しているとされる。[注 16] [GLA 13]
その他
編集
- ビジネス分野
TL経営研修機構は、GLAの関連団体である[21]。TL(トータルライフ)人間学(魂の学)に基く経営を学び、実践するための研修機構である。TL経営研修機構は、経営に携わる人がTL経営(TL人間学[22]に基づく新しい経営)の在り方を学び、実践する集いのこと。「TL人間学」を基とした実践によって、一人ひとりの中にある内なる力を引き出し、問題解決と創造を可能にする道を体験的に学んでゆくことを目的としている。[23]
- 医療・健康分野
TL医療研究会では、「魂の学」に基づく新しい医療観・病気観・診断観・治療観による研究と実践に取り組んでいる。
- ボランティア活動
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震においては、対策本部を立てた。全国的な救援活動の陣頭指揮を執りながら、GLA主宰者も再々被災地に赴いて被災者と対話した。[GLA 14][24]
脚注
編集注釈
編集- ^ 創世とはジェネシスと訳する。のちのジェネシスプロジェクト(創世具現運動)の起点となる書物。
- ^ 強大な力を持つ科学文明を崩壊に至らせないためには、それを扱う人間の内に、闇(暗転)と光(光転)を見分ける弁別力を育むことが必要であり、21世紀に向かって新しい文明が開かれてゆくためには、外なる科学文明と内なる弁別力を統合してゆく道が呼びかけられていると説いた。 [GLA 1]
- ^ 人間は永遠の生命を持つ魂存在であるとする観点から構築された人間学の講座[GLA 2]
- ^ 経営者の人間的深化・成長と、それを基とした利益の実現を同時に達成する経営の研鑽
- ^ ニュープロジェクト(新具現運動)をジェネシスプロジェクト(創世具現運動)に変えて新たな世紀への行動指針の徹底を図る。
- ^ ジェネシスプロジェクト(創世具現運動)をグローバルジェネシスプロジェクト(国際的な創世具現運動)に変え国際化を図る。
- ^ 年に2回希望者を募り式典が執り行われる。大いなる存在との縦の絆のもとで、魂となり永遠の生命となった故人との友情の絆を深めることが真の供養であるとされている。特別供養とは
- ^ 2016年に開所。604名を収容できる講演専用のホールを持つ
- ^ この中には、闇(暗転)と光(光転)を瞬間的に見分ける弁別力を育むタイプの発想術も説かれている。また、暗転してゆく世界をカオスと観ることにより、光転に導くという復興を具現した、愛媛大学名誉教授の実践例が載せられている。[GLA 4]
- ^ GLA中京本部は長野、静岡両県の一部を含む東海三県。[16]
- ^ 「聖日の集い」は、参加するだけで、誰もが神理の基本を学び、生きることができるように考えられており、会員は、「聖日の集い」に参加することで、GLAの1年の学びを概観し、「魂の学」のいのちを体験することができるとされている。
- ^ 2007年に「グローバル・ジェネシスプロジェクト研鑽」に改称された[20]。
- ^ 弟子はアーナンダのことであるが、その個所のほかにコーサラ国王に対しても、「善き友をもつこと、善き仲間のいること、善き人々に取り巻かれていることは、清浄行の全体である。」と語ったとされる。『原始仏典Ⅱ 相応部第一巻』中村元ほか、第三篇第二章第8節、137頁。ISBN 978-4-393-11301-1。
- ^ 少年層は「チャレンジングエンジェルス スクール」、青年層は「青年塾」、壮実年層は「フロンティアカレッジ」、婦人層は「こころの看護学校」、熟年層は「豊心大学」と呼ばれる。
- ^ 層別セミナーは、GLAの教義の1つである「円環的人生観」に基づいて作られている。
- ^ 主宰高橋佳子の著作や、月刊『G.』、講演映像などを学びながら、1人ひとりが自らの心(受発色)の傾向を見つめつつ、お互いの人生を深く語り合う。その中で、互いの絆や友情が育まれると同時に、現実の試練や問題をあるがままに受けとめ、解決してゆく道が開かれてゆくという。
出典
編集- ^ a b c 「宗教法人GLA」宗教情報リサーチセンター、公益財団法人国際宗教研究所。2024年11月29日(再)閲覧。
- ^ a b c 「GLAの概要」GLA(ジー・エル・エー)。2020年7月22日閲覧。
- ^ 「GLA(宗教団体)の意味を知りたい。」レファレンス協同データベース、1995年5月24日、2011年6月16日更新、国立国会図書館。2020年7月23日閲覧。
- ^ a b 松野純孝編『新宗教辞典』東京堂出版、1984年、111-112頁。
- ^ a b c d 『宗教と科学のネオパラダイム』創元社、1995年1月20日。ISBN 4-422-14019-1。
- ^ “高橋信次先生 - GLA(ジー・エル・エー)”. GLA(ジー・エル・エー) - GLAは、1⼈ひとりが⽣まれてきた願いに⽬覚め、⼈⽣をより豊かにしてゆくこと、そして輝く世界を創造してゆくことを願っています。 (2019年2月15日). 2025年10月10日閲覧。
- ^ ウエブサイト、トータルライフ(TL)人間学とは | トータルライフ経営研修機ー高橋佳子先生紹介
- ^ 各地の聖堂正面にはGLA主宰によってデザインされたビッグクロス(大いなる十字)が配されていて、会員は祈りのたびに正面に向かって手を合わせているが、しかしビッグクロスは本尊ではなく、大いなる光の存在を象徴したものであり、祈りへといざなう表現として大切にされている。ウエブサイト「宗教情報リサーチセンター教団データベースP4
- ^ 沼田 1985, p. 176.
- ^ 沼田 1985, p. 193.
- ^ a b 「宗教法人GLA」宗教情報リサーチセンター、公益財団法人国際宗教研究所。2024年11月29日(再)閲覧。
- ^ 高橋信次先生 - GLA公式サイト
- ^ 経営、医療、教育等に跨る「TL(トータルライフ)人間学」を提唱。島田裕巳『日本の10大新宗教』
- ^ facebook.com/GLA
- ^ 信濃毎日新聞2014年8月26日夕刊、河北新報2014年8月30日、熊本日日新聞2014年9月7日、福井新聞2014年9月8日、山梨日日新聞2014年10月3日ほか。
- ^ GLA https://ja-jp.facebook.com/GLA.or.jp/photos/a.422162861164762/1116238991757142/?type=3&theater (ジー・エル・エー)Facebook
- ^ 敷地面積は約1,500㎡、建物は地上6階地下1階、延床面積約6,400㎡
- ^ a b 島田裕巳『日本の10大新宗教』幻冬舎、2007年11月、ISBN 978-4344980600
- ^ GLAの概要 GLA公式サイト
- ^ a b c d e 「宗教法人GLA」『宗教情報リサーチセンター』国際宗教研究所。2024年10月24日閲覧。
- ^ GLAの関連団体
- ^ 人間の本質を魂と考え、それを原点として、一人ひとりの仕事と人生と願いを一つに結び、それによって新たな問題解決の道をつけるものとされる。「TL(トータルライフ)人間学」とは
- ^ TL経営研修機構
- ^ 東日本大震災のときにGLAがどのような支援をしたのか。
GLAによる情報
編集参考文献
編集- 長谷瑞光「悪霊論 高橋信次をめぐって」『日本宗教学会第78回研究大会』、日本宗教学会、2018年9月。
- 沼田健哉「高橋信次とGLAの研究」『桃山学院大学社会学論集』第19巻、桃山学院大学総合研究所、1985年12月20日、171-194頁、CRID 1050282812567137920。
- 沼田健哉「宗教と科学のネオパラダイム -新新宗教を中心として- 」創元社、1995年1月20日、113-179頁、ISBN 4-422-14019-1
関連項目
編集外部リンク
編集