桃花台新交通100系電車

桃花台新交通のAGT(新交通システム)車両

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桃花台新交通100系電車(とうかだいしんこうつう100けいでんしゃ)は、愛知県小牧市桃花台新交通桃花台線で運用されていた新交通システムの車両である。 1991年平成3年)3月25日の開業から、2006年(平成18年)10月1日廃止まで運用された。

桃花台新交通本社と、停車中の桃花台新交通100系電車。
桃花台東駅に停車中の100系電車車内。片側のみの扉、2-1配列のクロスシートなどが印象的

概要

桃花台新交通100系電車は、日本車輌製造が開発した新交通システム「VONA(ボナ)」を採用しており、製造は全5編成のうち日本車輌が3編成(第1~第3編成)を、三菱重工業が2編成(第4,第5編成)を担当している。4両固定編成で、先頭車の「110形」、中間車の「120形」、「130形」、最後尾車「140形」がある。各車輌の出入口は、先頭に向かって右側1か所のみ。そのため、路線の起終点駅(小牧駅桃花台東駅)に設けられたループを回って方向転換することになる。

このような仕組みが採用された理由は、計画当初に想定されていた桃花台ニュータウンの想定人口が減らされたからである。そのため、桃花台線も計画自体も見直すことになり、大幅な経費削減を図らなければならなくなった。車両の入り口を片側のみにすることで車両の製作費用を抑え、さらに車両の方向を変更する機械設備も必要なくなったため、大幅な費用削減が図られた。 また計画当初は完全無人運行のシステムを採用する予定だったが、大幅に費用がかかることから、これも経費削減を理由に採用されなかった。

車両データ

各車両は中型から大型のバス、または1両編成の路面電車程度の大きさである。重量は約10t。運行時に利用する運転台は、先頭車の110形にある。また車両基地から桃花台東駅への移動時にのみ使う簡易運転台が、最後尾車の140形にもあるが、普段はカバーで覆われている。シートは固定クロスシート。右側が1人掛け、左側が2人掛け。

  • 軌道:中央案内軌条 (車体の下についたガイド輪がガイドレールを挟み込む)
    • AGT (Automated Guideway Transit)方式
  • 電圧:直流750V
  • 台車:日車製ND-324 ND-324T、三菱重工製MDC MTC (ゴムタイヤ)
  • 定員:193人
  • 最高速度:55km/h
  • 最大加速度:3.5km/h/s
  • 減速度
    • 常用最大:3.5km/h/s
    • 非常:4.5km/h/s
  • 閉塞方式:車内信号、ATC
  • 制御方式:チョッパ制御

先頭車

  • 形式:110形、4輪電動制御客車
  • 定員:43人(うち座席20人)
  • 重量
    • 自重:10.9t
    • 定員重量:13.54t

中間車

  • 形式:120形・130形、4電動客車
  • 定員:50人(うち座席24人)
  • 重量
    • 自重:10.6t
    • 定員重量:13.6t

最後尾車

  • 形式:140形、4輪電動制御客車
  • 定員:50人(うち座席24人)
  • 重量
    • 自重:10.6t
    • 定員重量:13.6t

廃止後の売却

桃花台新交通は2006年10月1日の桃花台線の廃止後、車両の売却を、同線と同じシステムを採用しているユーカリが丘線千葉県)を運営する(株)山万に対し打診した。しかし桃花台線に比べユーカリが丘線の方が建築限界が小さいため、物理的に入線が不可能であったことや、車体両側面への扉の設置改造が必要などの理由で、売却には到らなかった。次に小牧市や鉄道博物館埼玉県)に購入を依頼したが、「設置場所がない」などの理由で断られた。その後インターネットでの売却も図られたが、買い手は廃止後しばらく現われなかった。 しかし2008年1月、愛知県豊田市在住の鉄道運転士をしている男性が、先頭車両を個人で購入。またその他に同県知立市三重県桑名市にある会社などに、合わせて5両が売却された。 なお残りの車両は名古屋市に本社がある金属リサイクル業者に買い取られ、ほとんどが同社によって解体処理された。(2編成のみ、2011年小牧市に本社がある金属リサイクル業者で解体処理された。)

その他

桃花台新交通100系電車の元となった日本車輌製の「VONA」は、桃花台線開業後しばらく桃花台西公園に展示されていたが、窓ガラスが割られるなどしたため、撤去された。

画像

脚注


関連項目

  • 山万ユーカリが丘線 - 桃花台線と同じく、日本車輌が開発した新交通システムを採用した鉄道。日本の新交通システムでは、この2路線だけが中央案内軌条式である。