テングノメシガイ(天狗ノ飯匙[2]・天狗飯櫂[3]学名: Trichoglossum hirsutum)は、テングノメシガイ科テングノメシガイ属に属する棍棒状の小型のキノコ菌類)。似た種がたくさん知られていて、分類は難しいとされる[2]。食用不適[3]

テングノメシガイ
Trichoglossum hirsutum
分類
: 菌界 Fungi
: 子嚢菌門 Ascomycota
亜門 : チャワンタケ亜門 Pezizomycotina
: テングノメシガイ綱 Geoglossomycetes
: テングノメシガイ目 Geoglossales
: テングノメシガイ科 Geoglossaceae
: テングノメシガイ属 Trichoglossum
: テングノメシガイ T. hirsutum
学名
Trichoglossum hirsutum (Pers.) Boud. (1907)[1]
シノニム

ほか

和名
テングノメシガイ

分布・生態

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腐生菌(腐生性)[2]。初夏(梅雨)から秋にかけて、コケ群落、草地などの地上に生える[2]。特に湿った林内の腐食から発生する[3]。1本だけ単生するのではなく、いくつもの子実体が地面から散生することが多い[2]。人家のでも、湿ったコケ群落の間から生えてくることがある[2]

形態

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日本各地を含む北半球オーストラリアなど世界の温帯域に広く分布する[4][3]

子実体は頭部と柄からなる棍棒形で[4]、長さは2 - 8センチメートル (cm) ほど[2][4]。細長いスプーン状、あるいはの穂先形に例えられる[3]。全体が黒褐色から黒色で、上部(頭部)は球形、楕円形、披針形、棍棒状、あるいはしゃもじ状でやや扁平になり、径は3 - 7ミリメートル (mm) [3]。基部(柄)は、径1 - 2 mmの円柱形の棒状になる[2][4][3]。頭部表面の子実層と柄の表面には、浅い縦筋を有するビロード状の微細な毛状菌糸が生える[4][3]

側糸は糸状で、径2 - 4マイクロメートル (μm) 、隔壁があり、頂部は棍棒状に膨れて湾曲する[3]。 子囊胞子は大きさ90 - 130 × 5 - 6 μmの円筒状の棍棒形で、平滑、褐色をしている[4][3]。胞子は細長く、成熟すると14 - 16個にもなる隔膜を生じて多細胞になる[4][3]

類似種

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ナナフシテングノメシガイTrichoglossum walteri)は、大きさ70 - 90 × 4 - 6 μmの子囊胞子を持ち、細胞に7隔壁を生じる[3]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d Trichoglossum hirsutum”. MYCOBANK Database. 国際菌学協会 (IMA) とウェスターダイク菌類生物多様性研究所. 2025年3月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 秋山弘之 2024, p. 91.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 前川二太郎 編著 2021, p. 442.
  4. ^ a b c d e f g 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著 2011, p. 545

参考文献

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  • 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2 
  • 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5 
  • 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑:スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。ISBN 978-4-8326-0747-7