2-クロロプロパン
有機塩素化合物
(塩化イソプロピルから転送)
2-クロロプロパンは、化学式(CH3)2CHClで表されるハロゲン化アルキルの一種である。イソプロピルクロリド、塩化イソプロピルとも称する。無色ないし淡い黄色の揮発性・引火性のある液体で、石油に似た甘いエーテル様の臭気を持つ。
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物質名 | |||
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2-Chloropropane | |||
別名 イソプロピルクロリド、クロロジメチルメタン、2-プロピルクロリド、sec-プロピルクロリド | |||
識別情報 | |||
3D model (JSmol)
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ChemSpider | |||
ECHA InfoCard | 100.000.781 | ||
EC番号 |
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PubChem CID
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RTECS number |
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UNII | |||
国連/北米番号 | 2356 | ||
CompTox Dashboard (EPA)
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性質 | |||
C3H7Cl | |||
モル質量 | 78.5413 | ||
外観 | 無色の液体 | ||
匂い | エーテル様の甘い香気 | ||
密度 | 0.862 | ||
融点 | −117.18 °C (−178.92 °F; 155.97 K) | ||
沸点 | 35.74 °C (96.33 °F; 308.89 K) | ||
0.334 g/100 ml at 12.5 °C | |||
アルコールへの溶解度 | 混和 | ||
エーテル (化学)への溶解度 | 混和 | ||
ベンゼンへの溶解度 | 可溶 | ||
屈折率 (nD) | 1.3811 | ||
粘度 | 4.05 cP at 0 °C 3.589 cP at 20 °C | ||
危険性 | |||
労働安全衛生 (OHS/OSH): | |||
主な危険性
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可燃性、変異原性。飲み込んだり、吸引したり、あるいは皮膚との接触により有害な場合がある。 | ||
GHS表示: | |||
![]() ![]() | |||
Danger | |||
H225, H302, H312, H332 | |||
P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P270, P271, P280, P301+P312, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P312, P322, P330, P363, P370+P378, P403+P235, P501 | |||
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
引火点 | −32 °C (−26 °F; 241 K) | ||
593℃[1] | |||
爆発限界 | 2.8 - 10.7 %[1] | ||
安全データシート (SDS) | External MSDS | ||
関連する物質 | |||
関連するハロゲン化アルキル | クロロエタン 1-クロロプロパン 2-ブロモプロパン ヨウ化イソプロピル | ||
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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製造
編集工業的にはプロピレンに塩化水素を添加して製造され、溶媒として利用される[2]。
- CH3CH=CH2 + HCl → (CH3)2CHCl
実験室レベルでは、塩化カルシウムまたは塩化亜鉛を触媒として塩酸と2-プロパノールを反応させることにより容易に作ることができる。30%の塩酸と、高純度の2-プロパノールを使用した場合、アルコールと酸と触媒の比率は1:2:1が一般的である。反応混合物を数時間還流または蒸留したのち、水洗いで2-クロロプロパンと2-プロパノールを分離する。2-クロロプロパンは不溶性の層を形成し、2-プロパノールは塩酸とともに溶液中に溶け出す。
乾燥した2-クロロプロパンとマグネシウムを触媒の存在下で反応させると、グリニャール試薬のイソプロピルマグネシウムクロリドが得られる[3]。
安全性
編集日本の消防法では、危険物第4類第一石油類に区分される[4]。燃焼すると大量の塩化水素ガス、水蒸気、炭素酸化物、および若干の煤を放出し、煙のような黄色い炎を上げて非効率的に燃焼する。
参考文献
編集- Ann Smith, Patricia E. Heckelman (2001). “The Merck Index”. In Maryadele J. O'Nei (ed.). An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals (Thirteenth ed.). Whitehouse Station, NJ: Merck & Co., Inc. p. 932.
脚注
編集- ^ a b “2-クロロプロパン”. 東京化成工業 (2018年10月4日). 2022年2月12日閲覧。
- ^ M. Rossberg; et al. (2006). “Chlorinated Hydrocarbons”. Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Weinheima: Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a06_233.pub2. ISBN 978-3-527-30673-2.
- ^ Johnnie L. Leazer, Jr; Raymond Cvetovich (2005). “A Practical and Safe Preparation of 3,5-Bis(trifluoromethyl)acetophenone”. Org. Synth. 82: 115. doi:10.15227/orgsyn.082.0115.
- ^ “2‐クロロプロパン”. 安全データシート(厚生労働省 職場のあんぜんサイト) (2019年3月15日). 2022年2月12日閲覧。