クロロベンゼン
(塩化フェニルから転送)
クロロベンゼン(英: chlorobenzene)は、有機化合物の一種で、分子式 C6H5Cl と表されるハロゲン化アリール(芳香族ハロゲン化物)。無色で、可燃性の液体。ふつうは一置換体であるモノクロロベンゼンのことを指す。消防法に定める第4類危険物 第2石油類に該当する[5]。
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物質名 | |||
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Chlorobenzene | |||
別名 Phenyl chloride, monochlorobenzene[1] | |||
識別情報 | |||
3D model (JSmol)
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略称 | PhCl | ||
バイルシュタイン | 605632 | ||
ChEBI | |||
ChEMBL | |||
ChemSpider | |||
ECHA InfoCard | 100.003.299 | ||
EC番号 |
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Gmelin参照 | 26704 | ||
KEGG | |||
PubChem CID
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RTECS number |
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UNII | |||
国連/北米番号 | 1134 | ||
CompTox Dashboard (EPA)
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性質 | |||
C6H5Cl | |||
モル質量 | 112.56 g/mol | ||
外観 | 無色の液体 | ||
匂い | アーモンドのような[2] | ||
密度 | 1.11 g/cm3, liquid | ||
融点 | −45.58 °C (−50.04 °F; 227.57 K) | ||
沸点 | 131.70 °C (269.06 °F; 404.85 K) | ||
0.5 g l−1 in water at 20 °C | |||
その他溶媒への溶解度 | 多くの有機溶媒に溶ける | ||
蒸気圧 | 9 mmHg[2] | ||
磁化率 | −69.97·10−6 cm3/mol | ||
屈折率 (nD) | 1.52138 | ||
粘度 | 0.7232 | ||
危険性 | |||
労働安全衛生 (OHS/OSH): | |||
主な危険性
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低~中程度の危険性 | ||
GHS表示: | |||
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Warning | |||
H226, H302, H305, H315, H332, H411 | |||
P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P271, P273, P280, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P312, P321, P332+P313, P362, P370+P378, P391, P403+P235, P501 | |||
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
引火点 | 29 °C (84 °F; 302 K) | ||
爆発限界 | 1.3%–9.6%[2] | ||
致死量または濃度 (LD, LC) | |||
半数致死量 LD50
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2290 mg/kg (ラット, 経口)
590 mg/kg (マウス, 経口)[3] | ||
LCLo (最低致死濃度)
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8000 ppm (ネコ, 3 時間)[4] | ||
NIOSH(米国の健康曝露限度): | |||
TWA 75 ppm (350 mg/m3)[2] | |||
none[2] | |||
1000 ppm[2] | |||
関連する物質 | |||
関連するハロベンゼン | |||
関連物質 | |||
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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概要
編集クロロベンゼンは、DDT(かつて用いられ、現在では使用が禁じられた殺虫剤)の原料として、クロラール(トリクロロアセトアルデヒド)とともに用いられていた。しかし、現在DDTは多くの国で使用が禁じられ、中国・インドで農業用や発展途上国のマラリア対策用に製造されている程度である。
また、フェノールの合成法のひとつとして、ベンゼンを塩素化してクロロベンゼンとしたのち、高温下で水酸化ナトリウム水溶液とともに加熱する方法があり、これに用いられることがある。ただし、フェノールの工業的製造法はもっぱらクメン法が用いられており、この手法はあくまで実験室的手法である。
現在、クロロベンゼンの主な用途は、除草剤、色素、ゴムの合成中間体として重要なクロロニトロベンゼン、ジフェニルエーテルの原料としてのものである。
合成
編集1851年に、フェノールと五塩化リンの反応により初めて合成された。現在工業的には、ベンゼンを塩化鉄触媒の存在下で塩素化することで得ている。
実験室規模では塩化ベンゼンジアゾニウムからザンドマイヤー反応によって作ることができる。
出典
編集- ^ Pubchem. “Chlorobenzene” (英語). pubchem.ncbi.nlm.nih.gov. 2022年8月21日閲覧。
- ^ a b c d e f NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0121
- ^ Chlorobenzene: LD50
- ^ a b “Chlorobenzene”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH). 2025年10月16日閲覧。
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- ^ Webster, Guy (2014年12月16日). “NASA Rover Finds Active and Ancient Organic Chemistry on Mars”. NASA. 2014年12月16日閲覧。
- ^ Chang, Kenneth (2014年12月16日). “‘A Great Moment’: Rover Finds Clue That Mars May Harbor Life”. New York Times 2014年12月16日閲覧。